JPモルガン、トレーディングリスクを拡大-他行はブレーキ踏む

  • 大手銀の大半でトレーディングのバリュー・アット・リスクは低下
  • JPモルガンは例外、1-3月は前年同期を59%上回る

ウォール街の銀行のトップたちは2016年初めの市場環境について「厳しい」、「異例の荒れと波乱」などと口をそろえた。トレーディング収入は急減し、人員削減が実施された。

  ここ2週間に公表された銀行の四半期報告書での詳細な数字を見ると、各行の経営陣がこの嵐を乗り切るために選んだ方法が分かる。

  極めて例外的な日を除いて1営業日に発生し得る損失額の最大であるバリュー・アット・リスク(VaR、予想最大損失額)は、銀行の保有資産が一定であれば価格変動幅の拡大に伴い上昇するはずだ。JPモルガン・チェースの主要トレーディング部門では1-3月(第1四半期)に前年同期を59%上回った。一方、バンク・オブ・アメリカ(BofA)とシティグループは一部の業務を縮小させたためVaRは低下した。ドイツ銀行などが事業を縮小した欧州でもVaRは低下した。

  JPモルガンはVaRの急上昇は市場のボラティリティが原因だと説明したが、投資銀行部門で「債券と株式へのエクスポージャー」を増やしたことも認めた。つまりリスクを容認したということだ。同部門の第1四半期中のVaRは平均で5400万ドル(約58億8000万円)だった。前年同期は3400万ドル。広報担当者はコメントを控えた。

   BofAのトレーディングポートフォリオのVaRは32%減の4200万ドル、シティのトータルトレーディングのVaRは25%減の8000万ドルだった。

   ボストン大学でリスク管理を講じるマーク・ウィリアムズ氏は「銀行は本当にリスクテークを減らした」とした上で、それによって、もっと利益を上げる機会を逃したという一面もあると指摘した。実際、BofAとシティのトレーディング収入はそれぞれ16%と13%減少した。JPモルガンの減少は11%だった。

  VaRを低くする利点は、理論的には大規模な損失の発生が減ることで、BofAでは四半期中に損失を出したのは1営業日のみだったがJPモルガンは25日あり、最大の損失額は約5000万ドルだった。

  一方、VaRを減らせば大きな利益を上げるチャンスも減る。JPモルガンは少なくとも4営業日で4000万-7000万ドルの利益を出し、比較的少額の損失を埋め合わせた。

原題:JPMorgan Trading Risk Rose, Rivals Hit Brakes With Markets Amok(抜粋)