三菱自会長、ゴーン氏へのお詫びから自然な流れで提携に-株主も歓迎

更新日時
  • 生き残りに提携模索は課題だった-三菱グループ株主3社も意識共有
  • 海外事業への影響はない、東アジア地域ではさらなる拡大目指す

三菱自動車の益子修最高経営責任者(CEO)は燃費不正発表前の4月18日、日産自動車のカルロス・ゴーンCEOを謝罪のため訪ねた。その時のゴーン氏の言葉は、全面的にサポートするから頑張りなさい、というものだった。

  両社は12日、資本業務提携の実現に向けた協議・検討で基本合意した。三菱自は第三者割当増資を日産自に割り当て、日産自は議決権比率で34%の筆頭株主になる。株式発行総額は約2374億円。益子氏は、日産自と過去5年間、軽自動車事業を通じて協力しており、不正問題で提携時期は早まったものの自然な流れだったと12日のインタビューに語った。

  三菱自は日産自と2011年に設立した共同出資会社で軽自動車を開発・販売してきた。燃費不正が発覚した軽自動車4車種は三菱側が開発を担当したもので、日産自にも供給している。両社はこれまで軽自動車以外にも提携を広げることを話し合っていたという。

  アドバンストリサーチジャパンの遠藤功治アナリストは、日産自にとって「リスクもあるが、ものすごく安い買い物だ」とみている。日産自が三菱自と提携すれば三菱グループ含めて「みんなハッピーになる。政府としても雇用の問題に対処できる」と指摘した。

  アリアンツ・グローバル・インベスターズ・ジャパンの寺尾和之取締役は、三菱自について「どこかの支援がなければ先行きが危うい状況だった」とし、そういう中で「サポートが入った」とコメントした。

  日産自のゴーン氏は12日の発表会見で、「三菱ブランドを守り育てることを決意している」と述べ、三菱自が直面する課題解決を支援し、燃費不正問題を受けた信用の回復に注力する考えを示した。

三菱グループ大株主3社

  益子氏は、三菱重工業、三菱商事、三菱東京UFJ銀行の大株主3社も提携を「ポジティブにとらえている」と語った。自動運転などの新技術が求められている自動車業界を単独で生き残るのは厳しく、いずれパートナーを探さねばならないという点で大株主と一致していたという。ここ数年の業績好調に支えられて先送りになっていたが、今回の問題で一歩踏み出すきっかけとなったと考えており、大株主3社も「一つの機会」ととらえてくれたと述べた。

  不正発覚後の株価を基準に買い取り価格が算定されていることについて益子氏は、不祥事が株価に影響した結果で、さまざまなリスクの可能性を考えても妥当な線であり、現時点で取りうるベストな選択だっと考えていると述べた。

海外事業には影響しない

  三菱自は東アジア地域で基盤を築いており、世界販売の2割強を占めている。益子氏は、今回の不正問題は海外へ影響しないと明言した。特に東アジア地域では来年4月に稼働するインドネシア工場をはじめ、これまでの計画を変えることはなく拡大を目指すという。

  ゴーン氏は12日の会見で、三菱自は東アジア事業やSUV、ピックアップ事業などで「素晴らしい仕事をしている」と述べた上で、日産自にメリットがあり、この分野で協力を深めていく意向を示した。

リセットへ

  燃費不正問題への対応について益子氏は、5月18日までに全容解明をしてリセットへつなげたいと述べた。軽自動車の生産再開時期や方法などについては明らかにしなかった。企業統治(ガバナンス)改善に取り組んできたが、開発部門に関しては専門知識が必要なことなどから踏み込み切れなかったと述べ、今後は日産自から開発部門にも人材を受け入れることで、専門知識をもった新たな外部の目が入り改善が望めると話した。

  菅義偉官房長官は12日午後の会見で、今回の両社の提携により燃費不正問題の再発防止へしっかりした体制が構築され、わが国の自動車産業の競争力強化や、地域経済、雇用へ貢献するなど、「最大限の効果を挙げることができるように期待したい」と述べた。

  三菱自は4月20日、2013年6月から生産の軽自動車「eKワゴン」と「eKスペース」、日産自向け「デイズ」と「デイズルークス」の計4車種で燃費不正があったと発表。対象台数は両社計で62万5000台を生産していた。また、燃費試験で1991年から国内の法規定と異なる方式で測定していたことも明らかにしたほか、現在販売中の9車種や販売終了車種についても、正しい方法で燃費を算出していない可能性があるとして調査をしている。

  三菱自のホームページによると、昨年9月末の筆頭株主は三菱重工業で12.63%、次いで三菱商事の10.06%、第4位の三菱東京UFJ銀行が3.91%を保有している。三菱自の株価は不正発覚後に急落し、5月11日の終値で4割超の下落になっていた。


    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE