シャープ:2期連続の巨額赤字、鴻海の戴副総裁が社長就任へ

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  • 前期純損失は2560億円、液晶パネルの販売不振響く
  • 3月末で312億円の債務超過、鴻海が6月末までに出資金払い込みへ

経営再建中のシャープが12日に発表した前期(2016年3月期)決算は、2期連続の巨額損失となった。台湾の鴻海精密工業に買収されることが決まっているが、多難なスタートとなる。

  決算資料によると、前期の純損失は2560億円で前の期の純損失(2223億円)を上回った。営業損失は1620億円(前の期481億円)、売上高は2兆4616億円(同2兆7863億円)。今期見通しについては、鴻海との戦略提携の効果の算定が困難だとして公表しなかった。

  3月末時点で312億円の債務超過となったが、6月末までを目指す鴻海からの出資が完了すれば、債務超過は解消する予定。シャープが純損失を計上するのは、これまでの5期で4度目。液晶パネルや家電の販売不振が響いた。

  液晶事業の不振などで巨額赤字が続くシャープは、郭台銘(テリー・ゴウ)会長が率いる鴻海の傘下に入る。鴻海はシャープが第三者割当で発行する新株を総額約3888億円で取得し、全体の66%を保有する筆頭株主となる。今後は鴻海の下で有機ELなど重点事業に投資し再建を図る。

  高橋興三社長は12日の会見で「鴻海の出資を得て、新しいステージに持って行くことが私の責任だ」と話した。またシャープの苦境の要因について振り返って批判することは正しくないとした上で、「成功し続けないといけない。1個大きな失敗をするとそれまでの成功は吹き飛んでしまう」と語った。

本社移転

  出資金の払い込み完了後に、鴻海の戴正呉副総裁の社長就任を臨時取締役会で決議し、高橋社長は退任する。買収に伴い、大阪市阿倍野区の本社を堺事業所(大阪府堺市)に移転するほか、海外拠点を集約する。買収後は早期に従業員の給与削減をやめ、黒字化により賞与を再開したい考えだ。

  ミョウジョウ・アセット・マネジメントの菊池真最高経営責任者(CEO)は決算前の取材で、シャープの業績について「厳しい状況が続くとみるしかない」と分析。もし業績回復の手段があればすでに実施しているとして、状況は「崖っぷち」だと話した。

  3月30日の発表によれば、鴻海から調達した資金のうち、2000億円は携帯電話の画面に使う有機ELの技術開発や設備投資に用いる。インターネットにつないだ製品や車載分野での新規開発にも投入する。一方、太陽光発電などエネルギーソリューション事業の構造改革については、再編や処分を条件付きで認める文言が盛り込まれた。