「トヨタショック再度か」の声も、円高で企業に試練-追い風やむ

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「これまでは為替の追い風を受け、実力以上を出せた」ー。トヨタ自動車の豊田章男社長が11日の決算会見で発した言葉は国内企業が置かれた状況を象徴している。

  トヨタは今期(2017年3月期)の営業利益が前期比4割減となる1兆7000億円を見込んでいると発表。発表資料によると、減少分のほとんどにあたる9350億円が「為替変動の影響」としている。今期の為替前提は対ドルで105円(前期は120円)、対ユーロで120円(同133円)だ。

  これまでにスズキや日本たばこ産業(JT)、ファーストリテイリングも、業績が円高の影響を受けることを直近の決算発表で明らかにしている。円はドルに対して今年に入って1割強含んでおり、海外で外貨を稼いでも円建てにする過程で大きく目減りする。トヨタの豊田社長は「今年に入り、潮目が変わった」と会見で述べた。

  「トヨタショック再度か」-。大和証券の鈴木政博アナリストは11日付リポートをこう題した。08年11月にトヨタが営業利益見通しを1兆円下方修正して6000億円とし、市場に影響を与えた事態が再び起こるのではないかという懸念だ。今回は「当時ほどの深刻さはないとみられるが、影響がどのくらい広まるのか」と記している。

  12日の取引でトヨタ株は一時、前日終値比4.5%安となった。午前10時23分現在、同2.8%安の5478円で取引されている。TOPIXは同0.4%安の1328.89となっている。

最大の落ち込み

  自動車メーカーを筆頭に最高益を更新する企業が相次いだのは昨年まで。大和証券の分析によると、16年4-6月期の主要企業の経常利益は前年同期比9.7%減となり、第2次安倍晋三内閣が発足した12年12月以降の四半期ベースで最大の落ち込みが予想される。

  「為替は日本企業に極めて悪い影響を与えている」と、アトランティス・インベストメント・リサーチのエドウィン・マーナー社長は電話インタビューで話す。「値引きをしないと商売にならない。商売ができなくなると生産は落ち込み、コストばかりが上がることになる」という。

  ドル・円相場は12日午前10時20分現在、1ドル=108円55銭。ブルームバーグの集計データによると、市場予想の平均は16年4-6月に110円、17年には116円となっている。