三菱自:販売中の9車種でも机上計算などの疑い-燃費不正問題

燃費不正問題を抱える三菱自動車は、当初の対象だった軽自動車4車種以外で、現在販売中の9車種や販売終了車種についても、正しい方法で燃費を算出していないものがある疑いがあると発表した。

  11日の発表資料によると、現在販売中の9車種や販売終了車種についてもヒアリングの結果、正しく走行抵抗を算出していなかったり、「RVR」などで机上計算により算出したものがあると疑われるとした。測定データによる裏付けや経緯などを調査中で、別途報告するという。

  相川哲郎社長は発表会見で、販売中の9車種について、測定方法は違っていたが燃費は届け出とかい離がないとし、「このため販売停止に至っていない」と話した。横幕康次執行役員は、RVRはベース車両のデータを基準に技術的な計算の差し引きで算出したと説明した。

  海外販売への影響について、益子修会長は「現時点で出ていない」と述べ、風評リスクなども含め、今後の海外販売への影響を注視していくとした。海外販売分については、「適切な試験方法」だったとし、「RVRも海外分は適切だった」と話した。

  三菱グループから金銭的支援を受ける可能性について、益子会長は「現時点で要請はしていない」と述べた。補償金を含めて「自分たちでマネージできるのではないかという判断」をしているという。補償金額を含めた全体像は、今期決算見通しを示す時点で盛り込むとした。また自身の進退については「会社の将来を安定させる道筋をつけることも経営者の責任と考える」と述べた。

  三菱自は当初、軽自動車4車種について、燃費試験データを良く見せるため意図的に操作する不正があったと4月20日に発表。その後、燃費試験で1991年から国内の法規定と異なる方式で測定していたことも明らかにしていた。

  今回の発表では、軽自動車の燃費試験データの不正操作について、2013年2月に申請の14型「eKワゴン」と「デイズ」の開発から始まり、他の類別や「eKスペース」、「デイズルークス」の各年式のモデルチェンジ車で走行抵抗は同燃費訴求車のデータから机上計算していたという。燃費目標を5回にわたり引き上げたが、競合車の燃費を強く意識し、達成困難でありながら、根拠に乏しい安易な見通しに基づき開発を進めていたとした。

  こうした軽自動車の燃費不正では、担当者らが開発関連部門の管理職・役員の燃費向上の要請を必達目標と感じていたという。開発関連部門の管理職は業務委託先とのコミュニケーションが十分でなく、燃費目標が困難と理解していたにもかかわらず、実務状況を確認しなかったとしている。横幕氏は、軽自動車の燃費不正で最大15%のかい離があったことを明らかにした。

  軽自動車の燃費不正をめぐっては、共同開発して三菱自が生産・供給している日産自動車について、相川社長は「燃費目標を変えていくところには関与していない」と話した。一方、相川社長は軽自動車開発について、管理職が進める中で燃費不正があったと理解しているが、「まわりの人間にどこまで広がりがあったかは調査中」と述べるにとどめた。横幕氏は「現時点で上からの指示でやっていたとは確認されていない」と語った。

  益子会長は、軽自動車開発の委託先の三菱エンジニアリングがやったとしても、「経営が知りえなかったというのは問題だったと考えている」と述べた。日産自とは今後も継続して一緒にやっていく方法を模索したいとした。18日には、さらなる調査結果を出し、「しっかり答えたい」と語った。

  軽自動車の燃費不正を受けたユーザー対応について、相川社長は「かい離した燃費の燃料費プラスアルファの補償」を検討していると述べた。販売会社からは今週、ユーザーにダイレクトメールを送ったことを明らかにした。実際の補償額は、実燃費を確定して決めるという。

  三菱自が4月20日に発表した燃費試験データの不正対象は13年6月から生産の軽自動車のeKワゴンとeKスペース、日産自向けデイズとデイズルークスの計4車種で、3月末までに計62万5000台を生産。この4車種については不正発表後、生産・販売を停止した。

  その後の発表で、eKワゴンとデイズについては、開発当初の燃費目標(26.4キロメートル/リットル)を社内会議で5度にわたり引き上げ、最終的に29.2キロとしていたことを明らかにしている。さらに、国内では走行抵抗の測定法に関して91年に「惰行法」と呼ばれる方法が指定されたが、三菱自は当初から「高速惰行法」で計測してきたことも発表していた。

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