日本株連騰、為替や中国警戒後退-好決算評価も、素材や金融広く上げ

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10日の東京株式相場は連騰。為替や中国景気への過度な警戒が和らぎ、好決算銘柄を評価する買いも株価指数を押し上げた。ガラス・土石製品や化学など素材株、輸送用機器やゴム製品など輸出株、その他金融や保険など金融株、情報・通信株など東証1部33業種中、31業種が高い。

  TOPIXの終値は前日比28.24ポイント(2.2%)高の1334.90、日経平均株価は349円16銭(2.2%)高の1万6565円19銭。

  ドルトン・キャピタル・ジャパンの松本史雄ファンドマネージャーは、「1ドル=105円割れ、次は100円割れがあり得るかもしれないというのが市場の懸念だったが、為替が今後落ち着くなら、米国経済の改善方向や新興国経済の底打ちによって年後半に向け業績期待が出てくる」と指摘した。足元で発表が相次ぐ決算も、「決して良い内容ではないが、悪いものは株価に織り込み想定内」とみている。

  この日のドル・円相場は午後の取引で一時1ドル=108円80銭台と、日本株の9日終値時点107円58銭から円安方向に振れた。9日のニューヨーク市場でドルが5営業日続伸した流れに加え、午前の参院財政金融委員会で麻生太郎財務相が一方的に偏った状況が続くと介入すると言っている、とあらためて表明するなど政府による円高けん制発言も円売りにつながった。輸出企業は今期の想定為替レートを1ドル=105円や110円とするケースが多く、急激な円高の一服は業績懸念の後退につながった。

  また、中国国家統計局が10日午前に発表した4月の消費者物価指数は、前年同月比2.3%上昇と市場予想通りだった。前日は低調な貿易統計を嫌気する流れがあっただけに、発表後の日本株は先物主導で上昇基調を強めた。SMBCフレンド証券投資情報部の松野利彦チーフストラテジストは、「景気が強くないため、予想以上に大きく上昇すると市場の懸念材料になりかねない」としていた。9日の取引で2%超急落した中国上海総合指数は、きょうは0.4%安で始まった後、一時0.5%高と落ち着いた動きとなった。

  決算発表のラッシュとあって、個別銘柄の動きも活発。1-3月期営業利益が前年同期比4.9%増だった旭硝子、2016年12月期の営業利益計画を180億円から前期比16%増の190億円に上方修正したライオン、17年3月期営業利益は4.2倍を見込み、野村証券が投資判断を「買い」に上げたアコムが急伸。「きのうまで3月決算企業全体の4分の1が終わったところで今期経常利益は3%減程度と、それほど大きな減益幅ではない。為替の影響を受けやすい輸出は全体の足を引っ張っているが、内需関連の今期計画は悪くない」とSMBCフ証の松野氏は言う。

  東証1部33業種はその他金融、保険、ガラス・土石製品、金属製品、ゴム、化学、精密機器、通信、建設など31業種が上昇。石油・石炭製品と鉱業の2業種のみ下落。石油と鉱業は、9日のニューヨーク原油先物が2.7%安の1バレル=43.44ドルと2週間ぶりの安値を付けたことを受けた。東証1部の売買高は23億7282万株、売買代金は2兆4297億円。値上がり銘柄数は1663、値下がりは240。

  売買代金上位ではトヨタ自動車や三菱UFJフィナンシャル・グループ、ソフトバンクグループ、KDDI、NTTドコモ、日東電工、富士重工業が上げ、決算内容が評価されたアシックスや日本ハムは大幅高。半面、今期も営業減益見通しの丸紅やローム、ヤクルト本社は午後の取引で急落した。