三菱重社長:自動車支援、自社株主に説明可能な範囲で-正式調査待つ

三菱重工業は、かつて自社から独立した三菱自動車が燃費データ不正問題に揺れる中、正式な調査報告を待って支援を判断する方針だ。

  「三菱重工の株主への説明ということがきちっとできる範囲内」でしか三菱自への支援はできないと、9日の決算会見に出席した三菱重の宮永俊一社長は述べた。現時点で支援要請は来ていないという。仮に要請があっても、三菱自の置かれている状況、三菱重との関係性など「本当にいろいろ考えなければならないこと」があり、「中期的・長期的なメリットなどをきちんと説明できるかどうかを冷静に考えていくことが大切」と話した。

  三菱自は先月、燃費試験で1991年から国内の法規定と異なる方式で測定していたことや、燃費試験データを良く見せるための意図的な操作をしていたことを明らかにした。2000年代前半にリコール隠し問題で経営が悪化した後、三菱重などグループ企業の支援を受けて再生を図り、14年3月期に復配を果たしたばかりだった。

  三菱自は今後、購買者、軽自動車を供給していた日産自動車や部品メーカーへの補償、エコカー減税の返還などの費用が発生する見通し。相川哲郎社長は、今回の不正は「会社の存続に関わる大きな事案」と4月26日の会見で述べている。

世論の批判

  自動車調査会社、カノラマの宮尾健アナリストは、現段階で三菱重が支援の意思を表明すると世論の批判を招く可能性があり、三菱自や国土交通省による調査結果が出るのを待つことは「適切な判断」だと述べた。

  三菱自は4月26日、事実関係の調査や原因分析などのため弁護士3人からなる特別調査委員会を設置。3カ月をめどに調査結果の報告を受ける予定。国土交通省も独自に燃費試験を実施しているほか、燃費検査の不正行為防止ためのタスクフォースを設置して検査のあり方の見直しにも着手している。

  三菱重は1917年(当時は三菱造船)、国産初の量産乗用車となる「三菱A型」の製作を開始。その後、三菱重の自動車事業部門だったのを1970年、三菱自動車工業として独立させた。現在も12.63%の株式を保有する筆頭株主で、10.06%を保有する三菱商事が次ぐ。

三菱ブランド

  「三菱というブランドというのは非常に大切に思っている」と三菱重の宮永社長は9日の会見で話した。「今回のような問題でもなるべくブランドが毀損(きそん)しないような解決策があればいい」という。

  カノラマの宮尾アナリストは、日本でも有数の規模と歴史を持つ企業集団である三菱グループは「自分たちの看板が傷つくことは避けたいはず」だとし、三菱自について最終的にはなんらかの形でグループが救済するとの見方を示した。