2012年に投資会社ストラテジックキャピタルを設立した丸木強氏は、日本では一匹おおかみ的な目立つ存在だ。日本社会では株主が企業経営に積極的に注文を付けることへの抵抗感が強く、それが対話型のアクティビスト(物言う株主)の誕生を促したが、同氏はそうした株主とは一線を画す。

  説得が功を奏しないなら、経営陣を退陣させるために他の投資家と手を組んだり、企業慣行改革のために訴訟を起こすことも辞さない。丸木氏が運用資産97億円の自身のファンドのリターンを拡大するために取ってきた手法だ。

  丸木氏(56)は、「エンゲージメント(対話型)スタイルでずっとやっていると、マネジメントとミーティングするとすごく柔らかく、ジェントルな雰囲気だが、それで彼らは変わってくれるのか。ミーティングが終わったら、『あいつ優しいな』で終わってしまうかもしれない」と話す。

  投資先としての日本企業の魅力向上を目指す安倍政権の下でコーポレートガバナンス(企業統治)コードが導入されてから1年余りたった今、友好的な対話を通じて投資先企業の価値向上を目指すいわゆる「エンゲージメントファンド」が急増している。しかし、日本企業が抵抗する中で意味のある改革を実現するのは難しい。先月公表された年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の調査では、物言う株主の標的となった一部の企業から、投資家が無意味な質問や会合で時間を無駄にしているとの声や、株主が短期的な利益を重視し過ぎているとの指摘があった。

  投資家を納得させるのも容易ではない。丸木氏は2年連続で市場を上回る運用成績を上げているものの、国内機関投資家からの関心は大きくない。そうした機関投資家の多くは上場企業と取引関係にあり、その関係を損ないたくないからだ。しかし、セブン&アイ・ホールディングス (HD)の社長人事をめぐり物言う株主のダン・ローブ氏の試みが成功するなど、外国人投資家による最近の勝利は、丸木氏や日本人株主がより積極的な戦略を使うのに適した時期になっているかもしれないことを示唆している。

余剰資金

  みずほ証券の菊地正俊チーフ株式ストラテジストは、日本企業は依然として余剰資金を抱えているため、積極的な物言うファンドのさらなる拡大が必要であるほか、これらファンドによる強力な行動が必要だとの見方を示した。

  丸木氏は野村証券に17年勤務した後、村上世彰氏と共にコンサルタント会社とその旗艦ファンドを設立。村上氏がインサイダー取引で有罪になった後、丸木氏は同社を去り、ベンチャーキャピタル会社を創業。12年に物言う株主としての活動を再開した。

  丸木氏のファンドの運用成績は同氏の戦略が奏功していることを示している。ストラテジックキャピタルの過去2年のリターンは15年がプラス16%、14年がプラス15%と、いずれもTOPIXのプラス9.9%、プラス8%を上回っている。今年1ー3月は同ファンドのリターンがマイナス4.2%であるのに対し、TOPIXはマイナス13%。

原題:Unfriendly Activist Battles Japan CEOs to Wrest Returns By Force(抜粋)

最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE