円が下落、株高で対ドル1週間ぶり107円台後半-米利上げ観測後退

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  • 一時107円69銭と4月29日以来の水準までドル高・円安が進行
  • さらにドル売り・円買い材料出なければ、当面修正の方向-FPG証

9日の東京外国為替市場では円が下落し、対ドルで約1週間ぶり安値を付けた。米雇用の伸び鈍化を受けて米金融当局が緩やかな利上げを目指すとの観測が広がる中、日米株高を背景に円売りが優勢となった。

  ドル・円相場は1ドル=107円69銭と先月29日以来の水準までドル買い・円売りが進行。一時107円台前半まで円が下げ渋る場面も見られたが、午後には再び円売りが強まった。同3時35分現在は107円62銭前後。

  FPG証券の深谷幸司社長は、米雇用統計は極端に良いわけではなかったが、ドル・円を下押しする材料でもなかったと指摘。「さらにドル売り・円買いの材料が出てこなければ、どちらかというと当面は修正の方向だと思う」とし、いったんは3日に付けた105円55銭が円の上値になると話した。  

  米労働省が6日に発表した4月の非農業部門雇用者数(事業所調査、季節調整済み)は前月比16万人増。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は20万人増だった。前月は20万8000人増(速報値21万5000人増)に下方修正された。家計調査に基づく4月の失業率は5%と前月比横ばい、平均時給の伸びは加速した。

  米金利先物市場が織り込む6月の米利上げの確率は足元で8%。米雇用統計発表前は10%だった。一方、ニューヨーク連銀のダドリー総裁は米雇用統計発表後に掲載されたニューヨーク・タイムズ紙のインタビューで、年内2度の利上げは引き続き「妥当な見方」であると述べた。

  ブラウン・ブラザーズ・ハリマン外国為替部の村田雅志通貨ストラテジストは、「6月の米利上げの可能性はゼロではないが低くなった」とし、目先はドル買いの動きは強まりにくいと指摘。半面、「米利上げが当面ないとの見方を背景に米国株を買う動きになり、米株高から円売り・ドル買いがあるかもしれない」とし、「107円台半ばから後半が定着すれば、円買いの動きは一服する」一方、「4月29日に付けた108円20銭を試すほどの力はない」と語った。

  米利上げ観測の後退を背景に先週末の米国株は4日ぶりに上昇。9日の東京株式相場も7日ぶりに反発した。

  ブルームバーグのデータによると、円は主要16通貨中、韓国ウォンを除く15通貨に対して前週末比で下落。ユーロ・円相場は1ユーロ=122円ちょうど前後から一時122円77銭まで円売りが進んだ。

  麻生太郎財務相は参院決算委員会で9日、ドル・円相場の過度な変動は貿易、経済、財政政策上で影響が出るとして、「われわれとしては当然、介入する用意があるということを申し上げるということになると存じる」と語った。また、日本銀行の岩田規久男副総裁は同委員会で、米財務省が為替報告書で日本を「監視リスト」に指定したことについて、金融政策を制約するものではないと答弁した。

  三井住友信託銀行マーケット金融ビジネスユニットの細川陽介為替セールスチーム長は、「今週は米雇用統計後で手掛かりが少ない」とし、ドル・円も大きく105-110円とみれば、「現在の107円台は居心地が悪くない水準に見える」という中で、日米金融当局者などの発言に注視して「次の材料を探す週になりそう」と話した。

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