コスモ石:安い原油を積極調達、触媒技術が鍵-幻とされた米国産も

  • 自社開発の触媒技術を強みに輸出解禁後の米国産原油の輸入を決定
  • 触媒技術を東南アジア向けに本格展開へ、原油の共同調達も視野に 

コスモエネルギーホールディングス傘下のコスモ石油は、メキシコ産や米国産など国内の石油会社がこれまで調達してこなかった原油の購入を積極化している。鍵となるのが原油からガソリンなどの石油製品を精製する際に不純物を効率よく除去する触媒技術。製油所ごとに異なる装置構成に適した触媒を自社開発できる強みを生かし、原油の調達先多角化にもつなげている。

  技術部門を担当するコスモ石油の小笠原浩三常務取締役らがブルームバーグとのインタビューで述べた。触媒技術に強みを持つことで「より重質で安い原油を処理することができ、調達コストを大きく低減できるメリットがある」と説明。約30年にわたって自社製油所向けの触媒を開発しており、大規模に触媒開発に取り組むのは国内の石油会社では珍しいという。

  触媒技術を生かした調達例が米国産原油。米国は第1次石油危機後の1975年以来40年間、原油の輸出を原則禁止していたが、昨年12月に解禁を決めた。コスモ石油は今年1月、国内の石油会社では初めて解禁後の米産原油の輸入を決定。米産原油は触媒を劣化させる金属分の含有量が高いというが、同社の触媒は金属分に対する耐性が高く取り扱いが可能だと判断した。

  コスモ石油の安藤文晴研究部長は「経験したことのない原油は慎重になるし、製造サイドからすると何が起きるか分からないという怖さがある」と語る。産地によって原油の性状は異なり製品の生産計画にも影響を及ぼすことから、石油各社は自社の製油所で精製したことのない原油の調達には慎重になる。結果として中東依存を高める要因にもなっているという。

米産原油は間もなく到着

  安藤部長は米産原油は「メジャーな原油」ではあるものの、長期間輸出されていなかったことから「幻の原油」でもあったと指摘。コスモ石油では輸出解禁後、ニューヨーク原油先物相場が急激に下げ足を強めた時期を捉えた。米産原油を積んだタンカーは、5月9日に日本に到着する予定。

  昨年からは付加価値の低い重油が多く精製される重質のメキシコ産イスムス原油の輸入も始めた。価格動向をにらみながら世界の30-40種類の原油を対象により安く調達できる体制を敷いている。
  
  今後アジア地域では環境規制の強化でガソリンや軽油などに含まれる硫黄分の比率引き下げが求められる見通し。触媒の需要は高まると判断して、コスモ石では海外向けに本格展開する考え。

  すでに販売している韓国に加えてタイやシンガポール、インドネシアなど東南アジアの製油所向けに触媒の販売や技術提供に乗り出す。2020年ごろの収益貢献を見込む。将来的には触媒を提供する海外の石油会社との原油の共同調達にもつなげていきたい考えだ。