【コラム】日欧の追加緩和でも円とユーロが高いのはなぜ-エラリアン

米金融当局は昨年12月、金融政策の引き締めに向けた小さな一歩を記した。その後、日本とユーロ圏、中国という米国以外のシステム上重要な国・地域の金融当局は、通貨押し下げ誘導の試みも含め、需要喚起のための勇猛果敢な緩和措置を強化した。日本銀行は欧州中央銀行(ECB)などに続き、マイナス金利導入に踏み切った。

  それから数カ月後、一連の政策の世界の為替相場への影響は、直感とは逆な上に、世界的なリバランスに逆効果となる方向に作用している。円とユーロは対ドルで下落する代わりに顕著に上昇し、日本とユーロ圏の成長とインフレへの逆風が強まる結果となった。

  一方、4月29日には、米財務省が外国為替報告書で日本とドイツ、中国など5カ国・地域を新たに設けた「監視リスト」に入れ、不公正な通商上の優位を手に入れようとしていないか、厳しくチェックする方針を示した。

  このような直感に逆行した為替市場動向を説明するのは、私が先に指摘したように、各国・地域間の金利差は一定のラインを越えると為替相場誘導における効力を失い得るという点だ。

  効力が失われない場合でも、成長への期待された押し上げ効果は、構造的な成長エンジンの不足、総需要の欠如、警戒すべき不均衡、過剰債務を抱える一角といった、より広範な諸問題によって打ち消されることになる。

  システム上重要な国々が金融当局への過度の依存を続け、より包括的な政策対応に転じなければ、世界経済が為替相場の不安定に伴う損失を被る一方で、期待通りに相場が動いてもその恩恵をほとんど享受できないというリスクが高まる。この間を通じて、為替相場はますます直感に反した動きを示す恐れがある。

(このコラムの内容は必ずしもブルームバーグ・エル・ピー編集部の意見を反映するものではありません)

原題:Why Currency Markets Appear Out of Whack: Mohamed A. El-Erian(抜粋)

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