マイナス金利も妨げにならず-債券市場は09年以来最善の状況か

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  • 債券の発行超過額は縮小へ、縮小幅は09年以来最大-JPモルガン
  • 世界の債券利回りは過去最低に低下するとJPモルガンは予想

債券が大量に発行されている現在の世界で、それが不足する可能性があると想像するのは難しい。

  だが、米銀JPモルガン・チェースによれば、そのような状況がまさに実現しつつあるという。債券引き受けで世界最大手の同行は、世界の債券利回りが今後過去最低に低下すると予想。これは今年の世界の債券純発行額が1兆8600億ドル(約198兆円)となるのに対して、純購入額が1兆7400億ドルに上るとの予測に基づいている。

  これらの数字は供給が需要を5年連続で上回ることを示唆しているものの、JPモルガンにとって重要なのは、需給の差である発行超過額が大きく縮小する見込みであるということだ。縮小幅は2009年以来で最大となる見通し。

  このような良い状況をもたらす要因は、政府の借り入れが緊縮策により減少している一方で、中央銀行の債券購入が増加していることだ。中銀は金融危機以来、成長下支えやデフレ防止のために12兆ドル余りの資産を買い入れた。こうした展開が実現すれば、米金融当局の利上げの動きのため利回りが上昇し、成長が抑制されるとの懸念は和らぐだろう。

不確実性と低成長

  世界の債券の年初来リターンがJPモルガンの見方を裏付けている。投資家が変動の大きい株式や商品、中国市場からの逃避先を求める中、年初から4月28日までの世界債券リターンはプラス3.3%と、バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチによる1997年からのデータでは最高の年初スタートとなっている。

  JPモルガンの市場ストラテジスト、ニコラオス・パニガーゾグロー氏(ロンドン在勤)は「投資家は買い続けるだろう」と指摘。「現在の経済情勢の特徴は高い不確実性と低成長だ。利回りが低下する中で、債券投資家はキャピタルゲインから十分な利益を得る見込みだ」と述べた。

  世界の債券市場は07年の70兆ドルから約100兆ドルに急拡大し、バブル崩壊の懸念が高まっているため、需要の回復力が重要となっている。だが、経済見通しを気にする資産運用者はこうした声にほとんど耳を傾けず、より長期でリスクが高めの債券に資金を投じ、利回りを10年前の半分未満の水準まで押し下げている。世界の債券の約8兆ドル相当がマイナス金利となっているが、これは投資家が現在こうした債券を購入して満期まで保有したら損失を被ることを意味する。

原題:Negative Yields No Bar to Best Bond Market Conditions Since 2009(抜粋)