【インサイト】「アデル」頼みのソニーに喝采も、アンコール期待できず

ソニーの株主が2016年3月期の営業増益を誰かに感謝するとすれば、それは英国人歌手のアデルだ。

  グラミー賞受賞者アデルのおかげで、ソニーの音楽部門の売上高と営業利益は大きく伸び、同社の非金融事業で最も利益率の高い部門になった。

  ソニーが先週発表したリポートによると、昨年11月発売のアデルのアルバム「25」は同社の音楽番付で昨年度最大のヒットとなった。2、3位と続いたのはアイドルグループのワン・ダイレクションと英ロックミュージシャンのデビッド・ボウイ。ボウイの「★」(ブラックスター)は1月に肝臓がんで死亡する数日前に発売された。

  ソニー・ミュージックの昨年度の好業績の大きな部分はデジタル事業にあり、同事業の収入は23%拡大。特に音楽ストリーミングによる収入が57%急増した。

  音楽事業はソニー全体の昨年度の売上高の7.6%しか占めなかったが、営業利益への寄与度は30%に達した。全体でみると音楽売上高は10%増、営業利益は44%拡大した。

  しかし、ソニーはこの好業績は今年度は続かないという。売上高は11%減り、営業利益も28%減少するとしている。

ブリティッシュリバイバル

Bloomberg

  アデルもボウイも14年にはトップ10に入るようなアルバムをリリースしなかったため、昨年度の新アルバムはソニーには大きなプラスだった。ボウイの新作が売れたのは本人の死去によるところが多いという見方はある。4月21日に死去した米歌手プリンスのアルバムは先週、米ビルボードチャート上位200位のトップと2位に躍り出た。ワン・ダイレクションはファンの年齢層が低いため人気が続く保証はないが、アデルがヒットメーカーであるのは間違いない。

  ソニーにとって昨年度ナンバー4のアーティストである米歌手メーガン・トレイナーは今週、新アルバム「サンキュー」をリリースする。アッシャーやピットブル、ボブ・ディランやセリーヌ・ディオンも近々新作の発表を予定している。だが、ソニーが弱気な見通しを示していることを考えると、これらのどれかが空前の大ヒットになるとはみていないようだ。

  ソニー音楽部門の「2015年度ツアー」には満場総立ちで拍手喝采を送るべきだが、どうやらアンコールは期待できそうにない。

(このコラムの内容は必ずしもブルームバーグ・エル・ピーの意見を反映するものではありません)

原題:Sony’s Hit Machine Won’t Be Giving an Encore Performance: Gadfly(抜粋)

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