LNG取引増へ環境整備、政府「市場戦略」を公表-日本主導の好機

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  • 流動的なLNG市場には転売規制の緩和・廃止が不可欠:経産省
  • G7エネルギー相会合に合わせてLNG市場戦略を発表

政府は液化天然ガス(LNG)市場の取引活性化を実現するため、主要な消費国間の連携を強化して仕向け地条項と呼ばれる転売規制の緩和・撤廃を産ガス国などの売り手に求める。LNG取引の自由度が増すことで、国内の電力・ガス会社は調達力を生かしてLNGのトレーディング事業を拡大することが可能になる。

  欧州連合(EU)加盟国、韓国、インド、中国、日本という世界のLNG需要の約8割を占める主要消費国が連携し、取引の活性化に不可欠な仕向け地条項の緩和・撤廃を継続的に呼び掛ける考えだ。2日に閉幕した主要7カ国(G7)エネルギー大臣会合に合わせ、経済産業省はこうした方針を盛り込んだ報告書「LNG市場戦略」を同日発表した。

  この報告書によると、今後数年の間に米国やオーストラリアで大型LNG事業の生産開始が相次ぐなど市場の環境が大きく変化する中、同省は世界最大のLNG輸入国日本が市場形成を主導する好機とにらむ。民間企業などと設立したLNGマーケット研究会がまとめた提言を基に、流動性の高いLNG市場を実現させるほか、2020年代前半までに日本がLNG取引の中心地(ハブ)となることを目指し、行動計画を戦略としてまとめた。

  報告書ではLNG取引の容易性向上、適切な価格指標の構築、オープンなインフラの3つが目標達成のために必要だと指摘。取引の容易性向上では、仕向け地条項の緩和・撤廃の呼び掛けを行うほか、タイ、インドネシア、インド、ミャンマーといった新興国への支援を行うなどして国内外でLNG利用の拡大を促進し、市場の厚みを増やすことを狙う。

市場参加者が価格指標育てる

  価格指標については、米プラッツや英アーガスといった価格調査会社がLNGのスポット市場の価格を評価したり、シンガポール取引所や東京商品取引所が先物市場などを創設したりする動きがある。しかし、報告書はスポット市場での取引が活発ではないため「いずれの価格指標も広く市場参加者に受容されているとは言いがたい」とし、LNGの需給を反映した価格指標を確立するため、「市場参加者が指標を育てていく」という観点から取引価格などの積極的な情報開示が重要だと指摘した。

  現在、長期契約に基づいて取引されるLNGの多くは、LNGの需給とは離れた原油価格に連動する形で価格が決められている。コンサルティング会社クラヴィス・エナジー・パートナーズの玉水順蔵代表は、「LNGそのものの需給で決まる価格が指標としてできることはプレーヤーとして非常に喜ばしい」と指摘。

  スポット市場の取引が活発化することで需給を正確に反映した価格指標が生まれると、付随して先物取引なども行われるようになり、買い手と売り手の双方が価格変動リスクをヘッジできる場が生まれると説明した。経産省は、国内の需給を反映した価格指標を値決めに使うLNGの売買契約に対しては、国際協力銀行などによる公的な資金調達の支援を積極的に行う方針だ。

インフラ整備では公的支援も視野に

  インフラについては、新規参入者やトレーダーなど第三者が利用できるLNGの受け入れ基地や貯蔵設備基地のほか、主要な需要地をつなぐ広域のパイプラインなどが必要だとし、これを確保するための制度的な措置や公的支援の在り方を早急に検討する。

  さらに、政府として国内外の企業による「開放型のインフラ運営事業やトレーディングなどの新たなビジネスモデルへの挑戦を歓迎する」とした。経産省は、今後年1回をめどに定期的にLNG市場戦略を再評価し、必要に応じて改訂することを予定している。

(玉水氏のコメントを第6段落に入れて更新します.)
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