【インサイト】野村は一段のコスト削減が必要、債券に固執するなら

投資銀行はトレーディングがしぼむ中で声をそろえてコスト削減を唱えているが、その声の大きさが十分でないのは失敗だ。

  これが野村ホールディングスの問題だ。同社は28日、欧州株式事業と一部の米事業の縮小計画を確認した。それによって海外事業が7年ぶりに黒字化するとの見通しも示した。

  しかし、野村のホールセール部門とグローバル・マーケッツ部門の共同責任者スティーブン・アシュレー氏が28日の決算発表後に述べたところによると、欧州と米国で変更を計画している分野の収入は海外事業全体の5%に満たない。一段の削減を実施するか、最も多くの資本を必要とする債券トレーディングにメスを入れない限り、約束通り2017年3月期に海外事業を黒字化できるとは考えにくい。

  野村は調査とセールス、引き受けを含む欧州の現物株業務からの撤退計画を確認。今後2年に年800億円程度のコスト節減につながると説明した。同時に、債券・通貨・商品(FICC)事業へのコミットメントを表明したが、これは多くの同業他社が退却している分野だ。

  野村はFICCの中でも得意分野の金利(国債を含む)と通貨事業を強化するとしている。投資家にとっては望ましくないニュースだ。1-3月(第4四半期)のFICC業務の収入は日本を含め世界の全地域で減少か横ばいだった。欧州・中東・アフリカ(EMEA)では前年同期比64%減、日本を除くアジアでは46%減だった。

  ゴールドマン・サックスのアナリストが指摘するように、野村の業績回復にはFICC収入の反発が不可欠なようだ。しかし外国為替市場の取引高低迷と最近の中国市場の混乱を見る限り、これが早急に起こるとは思えない。

  ボラティリティ(変動性)が低下して市場が落ち着いても、債券事業ではまだ一握りのライバルが残っている。さらに、野村には、みずほフィナンシャルグループや三菱UFJフィナンシャル・グループが持つような預金基盤がない。世界での債券引き受けや合併・買収(M&A)助言での市場シェアも高くはない。

  他の事業分野での削減を拡大するか、債券事業をめぐる戦略を考え直さない限り、投資家が拍手喝采してくれることはなさそうだ。

(このコラムの内容は必ずしもブルームバーグ・エル・ピーの意見を反映するものではありません)

原題:Nomura Needs Deeper Cost Cuts Amid Fixed-Income Malaise: Gadfly(抜粋)