動かぬ日銀、株式市場とかみ合わず-政策維持に「がっかり」の声

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28日の日本株は、午前の上昇相場が午後に入り急落と景色が一変した。日本銀行が量的・質的金融緩和やマイナス金利など政策の現状維持を決定、市場参加者の失望を誘ったためだ。日経平均株価は2月に2014年以来の1万5000円割れとなった後、政策発動を期待しながら1万7000円台まで戻してきたが、反発の流れは目先軌道修正を迫られた。

  アムンディ・ジャパンの浜崎優投資情報部長は、「気持ちとしてはがっかり。今回は何かやらなくてはいけないときだった。今まで黒田東彦総裁はポジティブサプライズを演出してきたが、ネガティブサプライズだ」と指摘。日本株市場では、日銀が何か政策を出すということがコンセンサスになっていただけに、「期待が剥落している。ことしに入り、日銀と市場がかみ合っていない」と受け止めている。

  みずほ投信投資顧問の柏原延行執行役員も、「さまざまな手段が検討されているとの見方や国内景況感の足踏み感から、株式市場には今回過大な期待、先走り感があった」とし、「実体経済の下振れに対する感覚が、株式市場などと日銀との中で温度差が生まれた」と話す。

  日銀は28日の金融政策決定会合で、マネタリーベースが年約80兆円に相当するペースで増えるよう金融市場調節を行う方針のほか、金融機関の当座預金残高の一部に対するマイナス0.1%の金利を据え置いた。長期国債、指数連動型上場投資信託(ETF)、不動産投資信託(J-REIT)の買い入れ方針も維持。1月に導入を決定したマイナス金利の効果を当面見極める構えだ。

  この日午前の日経平均は、為替の円安推移や海外原油市況の上昇、好決算銘柄を評価する買いが先行し、一時281円高の1万7572円と4日ぶりに反発する動きを見せた。しかし、日銀会合の結果が明らかになった昼休み中に大阪取引所の日経平均先物が急落、ドル・円相場は午前の1ドル=111円80銭台から108円70銭台まで3円以上ドル高・円安が急激に進んだことで、午後の取引開始早々から現物株にも売りが増加。金融や不動産セクターを中心に東証1部33業種全てが下げる中、日経平均の下げ幅も600円を超えた。

  ブルームバーグが15ー21日に専門家41人を対象に行った調査では、今回の日銀会合での追加緩和を予想した向きは23人(56%)となり、直前予想としては量的・質的緩和が導入された2013年4月会合(100%=対象13人)以降で最も高くなっていた。

  ミラボー・セキュリティーズ・アジアのトレーディング・ディレクター、アンドルー・クラーク氏(香港在勤)は「多くの人が今回の追加緩和を期待し、日本株を買っていた。かなりの人が不意打ちを食らっている」と指摘。大和証券投資戦略部の高橋卓也シニアストラテジストは、東京市場が29日から大型連休期間に入る事情もあり、特に為替動向には警戒が必要と言う。「一時的な大幅な下げからさらなる下げは覚悟せざるを得ない」としている。

  東京証券取引所が28日午後に発表した投資部門別売買動向によると、海外投資家は4月3週(18-22日)の日本株市場で現物株を5321億円買い越した。週間買越額は昨年4月4週(7080億円)以来の大きさ。大阪取引所が公表した第3週の先物売買動向でも、海外勢は3711億円の買い越しだった。 

  一方、豪ショーアンドパートナーでインカムストラテジストの共同ヘッドを務めるキャメロン・ダンカン氏は、「3カ月前に緩和をしたばかり。保守的なのが日銀で、リアクションをみたいのだろう」と話す。米ドルの軟調が推察されることはコモディティ市場などにはプラスで、再び世界のマーケットを混乱させないという点で「日銀が何もしなかったことは必ずしも悪いことではない」とみている。

  三菱UFJ国際投信の石金淳チーフストラテジストは、「日銀の金融政策は既に限界的で、過度に期待すべきではない」との認識だ。国内では政府の財政出動が打ち出される見込みで、「短期的な株価急落を懸念する必要はない」と言う。また、米国では製造業の景況感が改善、中国も足元で持ち直しの傾向を見せており、海外景気への悲観的な見方が今後後退していく公算が大きい点も日本株の下支え要因になると予想した。

(8段落に海外投資家の売買動向とチャートを追記します.)
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