3月コア消費者物価0.3%低下-黒田緩和の13年4月以来の低下幅

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  • コアコアCPIは0.7%の上昇-事前の予想を下回る
  • 都区部の4月速報はコア指数が0.3%低下-前月と横ばい

3月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は昨年10月以来5カ月ぶりのマイナスとなった。石油製品などエネルギー関連が下げ幅を拡大したことが全体を押し下げた。

  総務省が28日発表した3月の全国コアCPIは前年比0.3%低下した。ブルームバーグがまとめた予想中央値(0.2%低下)を下回った。前月までは2カ月連続の横ばいだった。物価の基調を見る上で参考となる食料(酒類を除く)とエネルギーを除く総合、いわゆるコアコアCPIも0.7%の上昇と事前の予想(0.8%上昇)を下回った。前月は0.8%上昇だった。

  コアCPIは昨年5月以来、マイナス0.1%からプラス0.1%の間で推移。マイナス幅が0.3%まで拡大したのは、日本銀行の黒田東彦総裁が量的・質的金融緩和を導入した2013年4月(0.4%低下)以来。黒田総裁は当時、2年を念頭に2%の物価目標を達成すると明言したが、3年が経過して消費者物価は振り出しに戻った格好だ。日銀は28日、金融政策決定会合で当面の金融政策を決める。

  日銀は物価の基調を見る上で、独自に公表するエネルギーと生鮮食品を除いたいわゆる日銀版コアCPIを重視している。2月分は2カ月連続で1.1%上昇、3月分は28日午後2時に発表する。黒田総裁は「物価の基調が着実に改善している」という判断の最大の根拠として、日銀版コアCPIが前年比1%を上回って推移していることを挙げている。

  SMBC日興証券の牧野潤一チーフエコノミストは発表後のリポートで、「物価の基調の鈍化は明白であり、持続的な物価上昇は当面見込みがたい」と指摘。3月分の日銀版コアCPIも「前年比1%を割り込んだとみられ、年末にはゼロ近傍まで鈍化しそうだ」という。

  日銀は同日の会合で経済・物価情勢の展望(展望リポート)をまとめ、新たな物価見通しを示す。1月時点の16年度の物価見通し(政策委員の中央値)は前年比0.8%上昇だった。牧野氏はこれを0.3%上昇程度に下方修正するだろうとした上で、「ここで日銀が何も手を打たなければ、日銀のデフレ脱却に向けた本気度が問われかねない」として、同会合で追加緩和が決断されるとみている。 

注目の東京都区部

  先行指標の東京都区部4月中旬速報はコア指数が0.3%低下と前月と同じだった。コアコアCPIは0.6%上昇と前月と同じだった。事前の予想はそれぞれ0.3%低下、0.5%上昇だった。

  ゴールドマン・サックス証券の馬場直彦チーフエコノミストは発表後のリポートで、「エネルギー価格の前年比での影響は一巡しつつあったが、ここへ来てマイナス寄与が拡大している」と指摘。円安コストプッシュの影響もかなり弱まっているとした上で、「コアCPIは当面、前年比マイナス圏での動きが続くだろう」としている。

  ブルームバーグが15-21日にエコノミスト41人を対象に実施した調査で、追加緩和予想は23人(56%)と、直前予想としては量的・質的緩和が導入された13年4月4日会合以降で最も高かった。

  みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは発表後のリポートで、コアCPI前年比の2%到達は「全く見えてこない」と指摘。「異次元緩和の失敗は明白である。さらなる実験的な緩和の積み重ねは回避すべきだろう」としている。