支援確保に綱渡りのギリシャ、シナリオは3つ-降伏か投票か

  • 債権団の追加緊縮要求、ギリシャ連立与党内の火種に
  • 世論調査で野党リード、チプラス首相は難しい選択

ギリシャのチプラス首相は、支援策で要求された以上の財政緊縮は1セントたりとも受け入れないと有権者に公約済みだ。そこへ同国の国際債権団が支援策の要求に35億ユーロ(約4400億円)の追加緊縮を盛り込む可能性を明らかにし、首相に誤算が生じている。

  ユーロ圏と国際通貨基金(IMF)の要求は、ギリシャの財政がIMFの見通しを逸脱した場合に国内総生産(GDP)の2%に相当する「危機管理措置」の導入を義務づけるというものだ。首相とツァカロトス財務相は、自らの連立を瓦解(がかい)させずに債権団を満足させる措置を練り上げるという、綱渡りの作業を迫られている。

  向こう数日から数週間にたどる可能性があるシナリオは、以下の3つだ。

シナリオ 1: チプラス首相の降伏

  チプラス首相にとって、このような経験は初めてではない。ギリシャの銀行システム崩壊とユーロ圏離脱の瀬戸際にあった昨年7月、首相は財政緊縮を後退させるという選挙公約をほごにし、新たな金融支援と引き換えに債権団の要求を受け入れた。

  政党別支持率調査で最大野党の新民主党が大きくリードし、しかも国庫に余裕がないことから、チプラス首相は再びこの道を進むしか選択肢がないと決定するかもしれない。議員や有権者に対しては、この決定で債務再編への道が開かれる上、追加緊縮はギリシャが財政目標を逸脱した場合に限られるため実害はないと説明することもできる。

  投資家はこれが最もあり得るシナリオだとみている。首相が危機管理措置導入で合意する場合、ユーロ圏の財務相は28日に会合を開き、支援策に基づくギリシャへの支払いを勧告する可能性がある。

シナリオ 2: 議会解散、総選挙

  合意できない、または連立パートナーの議員らの説得に失敗した場合、チプラス首相は議会を解散し、総選挙に打って出ざるを得なくなる恐れがある。債権団の要求を受け入れる決定に対して与党内の反乱に遭い、過半数を失った昨年、首相はこのカードを切った。

  間違っていることも多いギリシャの世論調査だが、現時点で新民主党(ND)がほぼ2年ぶりに首位を回復。NDが選挙で勝利すれば、ギリシャのユーロ圏残留を支持する穏健な諸政党による連立が発足しそうだ。

  だが明確な勝者がなく不安定が長期化したり、反緊縮色をさらに強めたチプラス首相が再び勝利したりする可能性もある。その場合はどちらにせよ、7月のデフォルト(債務不履行)やその後のユーロ圏離脱に至る恐れがある。

シナリオ 3: 国民投票

  総選挙以外で起死回生を狙う措置として、再度の国民投票実施が挙げられる。

  昨年7月の電撃的な国民投票を決めた際と同様に、債権団が支援策で合意した以上を要求しているため、実施には新たな国民の負託が必要だと首相は主張するかもしれない。ギリシャ紙トビマが今月初め掲載したカパ・リサーチによる調査では、緊縮反対の優勢が示唆された。この場合、ユーロ圏におけるギリシャの地位が再び問われることになる。

原題:Greece Faces New IMF Curve Ball to Unlock Aid: Scenarios (1)(抜粋)

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