異色の中国ヘッジファンド-野蛮人批判にひるまず、使命に燃える

更新日時
  • 中国インターネット企業に投資するファンドを創設した梁剣氏
  • 中国企業による米市場からの自社株買い戻しの動きに対抗

アクティビスト(物言う株主)による投資は中国では一般的でない。対決姿勢を示すことが文化的に好まれない。ジャーナリストからヘッジファンド運用者に転じた梁剣氏は、そうした文化を変えようと使命感を持って取り組んでいる。

  ただ梁氏がビル・アックマン、カール・アイカーン、ダン・ローブ各氏に代表される、がむしゃらな米国人アクティビストのようなタイプと混同されることはないだろう。企業の経営権をめぐる彼らのような派手な戦いをした経験は梁氏にはほとんどなく、資金力も彼らの数分の1にすぎない。

  しかし梁氏(40)が始めたことは、中国におけるアクティビストの活動という分野でこれまでで最も大胆な攻勢だろう。同氏は中国企業が米国に上場させた自社の全株式を安く買い入れるのを阻止しようとしている。結束の強い中国の投資・企業社会は梁氏の戦術に驚き、同氏は信奉者を数多く獲得するとともに多数の敵もつくった。野蛮人、妨害者、自身の対案を実施に移す資金力に欠ける取るに足りない人物。梁氏を評する言葉だ。

  しかし梁氏はひるまない。「われわれは自分たちのために戦わなければならない」。

梁剣氏

  自ら話すように、梁氏は3年前にヘッジファンド運用会社のi美股資産管理を設立してからこれまでにアクティビストになろうと意図したことはない。自身とわずかな顧客のために少額の資金を運用し、ニューヨークと香港に上場する中国インターネット企業株に集中投資してきた。だが各社幹部が自社の米上場株を買い戻すために用意した資金が昨年、過去最高の310億ドル(現在のレートで約3兆4400億円)に上ったことを受け、梁氏は衝撃を受けた。

  こうした企業はしばしば、米市場で買い戻した株式を中国でより高価格で再び売り出すことをもくろむ。米市場から買い戻す場合、その提示価格は大抵、わずか数年前に実施した新規株式公開(IPO)時の価格を大幅に下回るだけでなく、その時点の相場水準に合っていないケースもある。梁氏は誰かが立ち上がって少数株主を守る必要があると考えた。

  Eコマース・チャイナ・ダンダン(当当網)の最高幹部は昨年7月、それ以前の3カ月の平均を16%下回る価格で自社の全株式を市場で買い戻す意向を示した。梁氏はこれに対し、経営陣の提示額より13%高い金額での対抗買収案を提示した。

  オンライン化粧品小売り、聚美優品(ジュメイ・インターナショナル・ホールディング)の創業者は2月、発行済みの全ての自社株を1株7ドルで買い戻すことを自身が中心となって目指していると表明。これは2014年の同社IPO価格の3分の1に満たない。梁氏は同月、聚美幹部への法的措置を辞さないとするコメントを発表。その内容は広く報じられた。

  梁氏は中国北部の金融センターから遠く離れた南部の小村で生まれ育った。コメとバナナを栽培する農家の息子で、成都理工大学で学んだ。一家で初の大学進学者だ。複数の職を経てジャーナリズムの世界に飛び込み、同僚と金融ニュースウェブサイト「雪球」を開設。13年に仲間と共にi美股資産管理を北京で設立した。
 
原題:Obscure Chinese Hedge Fund Is Making Big Enemies in Stock Market(抜粋)

(第7、8段落に詳細を追加して更新します.)
    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE