三菱自:存続の危機、燃費測定法で91年から不正-対象台数まだ不明

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  • データ操作の軽自動車の燃費目標、社内会議で再三引き上げ
  • 海外当局も関心示す-米環境保護局が三菱自に追加試験を指示

燃費不正問題に揺れる三菱自動車は、燃費試験で1991年から国内の法規定と異なる方式で測定していたことを明らかにした。2000年代のリコール隠しのはるか以前から不正が継続していたことに対し、三菱自首脳は会社存続の危機と捉えて事態収拾に追われている。

  「会社の存続に関わる大きな事案だと思っている」ー。三菱自の相川哲郎社長は26日の会見で会社が置かれている状況について話した。

  国内では走行抵抗の測定法に関して91年に「惰行法」と呼ばれる方法が指定されたが、三菱自は当初から米国などで採用されている「高速惰行法」で計測してきたという。2001年には惰行法と高速惰行法を比較試験し、最大2.3%の差を確認した。不正の全貌はまだ把握できておらず対象の車種や台数については不明とした。

  三菱自では測定法のほか、燃費試験データを良く見せるため意図的に操作する不正もあった。その対象となった軽自動車「eKワゴン」と「デイズ」については、開発当初の燃費目標(26.4キロメートル/リットル)をその後の社内会議で5度にわたって引き上げ、最終的に29.2キロとした。

  中尾龍吾副社長は会見で、その間の社内会議には社長以下、役員が出席していたと明らかにしたほか、転がり抵抗値は燃費目標から逆算して算出していたことも分かったと話した。データ操作を誰が指示していたかは不明で、今後調査で解明していくという。

海外販売車は大丈夫なのか

  アドバンストリサーチジャパンの遠藤功治アナリストは、91年からの不正行為ならば一連のリコール隠しスキャンダルの発覚前になると指摘。「まずは不正車種の特定と台数の把握が何より大切だ。また海外販売の自動車は本当に大丈夫なのかも見極めが大切」とし、車種と台数の問題は会社の存続にも関わるとの考えを示した。

  三菱自は原因や責任については未解明であり、引き続き調査するとした。相川社長は会見で、顧客対応について決定できていないとした上で、補償内容は燃料代の差額や中古車価格の下落分の補てんなどを考えているとした。日産自動車向け車両の顧客に対する補償については、すでに日産自と協議していると述べた。米当局など海外の監督官庁にも報告する予定とした。

5月11日までに報告書を再提出へ

  国土交通省自動車局審査・リコール課の斧田孝夫課長によると、三菱自が26日に不正問題についての報告書を提出したものの、内容が不十分として5月11日を期限に再提出を命じたという。同省では今後、現在販売されている三菱自の全車種について走行抵抗値の測定方法などを確認する予定。

  国交省は同日、再発防止へ向けてタスクフォースを設立。メーカーが提出する走行抵抗値などの数値に関する不正の防止を目的とし、28日に初会合を開く。同省は三菱自の燃費不正発覚後、同社の名古屋製作所・技術センターに立ち入り調査していた。

  一方、三菱自は軽自動車の型式認証取得問題について、外部の専門家による特別調査委員会を設置すると25日の取締役会で決めたと発表。27日には決算を発表する予定だが、関係者によると、燃費不正で発生する費用の予測などが難しいとして今期業績予想の公表は見送る方向だ。

  相川社長は「再発防止が最大のミッション。そこから先は考える状況にない」とした上で、当面の最優先課題で原因究明に向けて「社長の責務は果たします」と述べた。

  海外当局も三菱自の不正問題に関心を示している。三菱自の米国販売車両が現地規制に違反していないかどうか、米環境保護局(EPA)とカリフォルニア州大気資源局(CARB)が調査を開始した。EPAのジュリア・バレンタイン報道官が電子メールで配布した発表文で明らかにした。EPAは三菱自に対し、米国販売車両を対象とする追加試験を指示する方針。

  三菱自の26日の株価終値は5営業日連続安の434円と、不正発表前日の19日終値からほぼ半値となった。

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