【インサイト】日本の銀行、今回のウォール街進出で見えた大きな強み

驚いたこともあるものだ。日本の投資銀行が海外進出で成功しているようだ。

  野村証券と大和証券が投資銀の高い報酬支払いと世界的なトレーディング低迷の挟み撃ちに遭っているのに対し、みずほフィナンシャルグループの証券部門であるみずほ証券は海外で拡大している。米国でバンカーなど50-60人を採用する計画で、現在500人ー600人体制となっている米拠点でバンカーやバックオフィス担当者を採用、今後1年間で人員を10%程度増やそうとしている。坂井辰史社長がブルームバーグの取材に対し明らかにした。海外拠点で今期(2017年3月期)黒字を見込んでいるとも述べた。

  三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)と三井住友フィナンシャルグループも国外融資を増やしている。海外事業拡大のコストが安くなるのが、日本のマイナス金利による銀行と保険会社への数少ない恩恵の一つだと分かる。

  野村と大和に比べての好調さは、居心地の悪い事実を業界全体に突き付ける。商業銀行としての預金受け入れと融資事業抜きには、世界的な投資銀の構築と維持は難しいという事実だ。この点を学習し始めたゴールドマン・サックス・グループは、オンラインの貯蓄銀行を計画しており、英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)によれば1ドルから預金を受け付ける見込み。

  商業銀行部門の預金という支えがあることは、金融機関が業務を獲得する上で有利であることはかねてから分かっている。

  日本の銀行は成長機会に飢えている。国内での低リターンほど、海外進出を強く促すものはない。「みずほは投資銀行のサービスを商業銀行の顧客に売り込むことが可能だし、日本の超低金利は海外で拡大する必要があることを意味する」と、ブルームバーグ・インテリジェンスのフランシス・チャン氏が指摘した。

  みずほと三井住友、三菱UFJはいずれも、東南アジアの銀行に出資してアジアでのシェアを伸ばした。国内での弱い成長見通しを背景に日本企業が海外資産の物色を続ける中で、そうした買収の資金調達を助けるにはバランスシートの大きい銀行ほど有利だ。

  みずほの海外融資残高は昨年末時点で全体の31.5%と、13年の20%強から拡大していた。三菱UFJは約40%。

  みずほ証は昨年9月以降に東京、香港、ニューヨーク、サンフランシスコでアナリストやセールス担当者、トレーダー合わせて約45人を採用した。これに対し野村は1000人規模で減らつつあり、大和も削減を検討している。

  ウォール街の大手投資銀は日本の証券会社からの挑戦は退けたかもしれないが、日本からの侵入について安心しきるのはまだ早い。みずほの引き受けランキングは今のところまだまだ低いが、グループ全体で1兆6000億ドル(約178兆円)の資産の後ろ盾がある相手はそう簡単に撃退できない。

(このコラムの内容は必ずしもブルームバーグ・エル・ピーの意見を反映するものではありません)
原題:Japan’s Latest Wall Street Foray Has More Staying Power: Gadfly(抜粋)

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