日銀内で強まる政府の出番の声、成長戦略・財政政策で-関係者

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  • 27、28日に金融政策決定会合、市場は追加緩和予想が過半数
  • 直前開催のFOMC、28日朝の経済指標、市場動向を見極めへ

世界経済の減速懸念や為替円高など日本経済に逆風が強まる中、景気や物価の失速を避けるため、政府に対して一層効果的な経済対策を求める声が日本銀行内で強まっている。

  複数の関係者によると、日銀内では、政府が成長戦略による改革の実行を一層加速してほしいとの声が強まっているほか、一部には、より積極的な財政政策の出動を求める声も出ている。

  日銀は27、28の両日、金融政策決定会合を開く。複数の関係者によると、日銀は直前に開かれる米連邦公開市場委員会(FOMC)や、28日発表の消費者物価指数、鉱工業生産など国内の3月の経済指標、為替相場や株式市場の動向をぎりぎりまで見極め、1月のマイナス金利政策の導入に続き追加緩和が必要かどうか議論する。

  安倍政権に対する日銀内の期待の高まりは、黒田東彦総裁の発言や、先に米ワシントンで開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議声明とも軌を一にしている。黒田総裁は13日、ニューヨークで講演し、日本経済がデフレを脱却する上での政策当局の課題の1つとして、潜在的な成長率の引き上げを挙げた上で、金融政策と成長戦略は「二者択一の問題ではない。両方とも必要不可欠だ」と述べた。

  ブルームバーグが15-21日にエコノミスト41人を対象に実施した調査では、28日に追加緩和が行われるとの予想は23人(56%)に達した。直前予想としては、量的・質的緩和が導入された2013年4月3日会合(100%=対象13人)以降で最も高くなっている。

FOMC後の為替も重要な要素に

  26、27両日開かれるFOMCでは利上げ見送りとの見方が強い。第一生命経済研究所の嶌峰義清首席エコノミストは25日付のリポートで、最近の米中経済指標は景気が循環的に持ち直すことを示唆する内容となっており、FOMC声明で「こうした変化に言及されているようであれば、6月FOMCでの利上げの可能性を織り込みに行く必要も出てくる」とみる。

  元日銀理事の早川英男富士通総研エグゼクティブ・フェローは18日のインタビューで、FOMCは利上げを見送るものの、米国経済はしっかりしているため、「6月利上げキャンペーンを始めるだろう」と指摘し、為替相場も「4月FOMCを通過すれば少し落ち着く」とみている。

  28日朝に公表される3月のコアCPIは昨年10月以来5カ月ぶりのマイナスが見込まれている。予想中央値は前年比0.2%低下で、予想通りになれば、量的・質的金融緩和を導入した13年4月(0.4%低下)以来となり、4月の東京都区部の結果と合わせ、同日の金融政策決定会合に影響を与える可能性もある。 

  複数の関係者によると、日銀内では円高の進行は2%物価目標のリスクとの見方が強まっている。また複数の関係者によると、マイナス金利政策を拡大する際に金融機関への貸し出しにもマイナス金利の適用を検討する案が、日銀内に浮上していることが22日分かった。これを受けて円相場は下落し、週明け25日も1ドル=111円台で推移している。

追加緩和は6月の公算も

  みずほ銀行の唐鎌大輔チーフマーケットエコノミストは25日付のリポートで、「カードを温存したい日銀にとって、一時的とは分かっていても、現状の相場つきは神風である」と指摘。「現状の地合いは観測報道だけで作られたものではなく、原油価格の反転や中国経済指標の落ち着きにも助けられている部分があり、仮に現状維持でも傷(円高・ドル安)は浅いと考える可能性もある」とみる。

  4月緩和を見込む向きの間でも、財政政策とのポリシーミックスの観点から、今回は追加緩和を見送るリスクが意識されている。UBS証券の青木大樹シニアエコノミストはブルームバーグ調査で、「補正予算の発表と同じタイミングで緩和することで、期待インフレ率や株価に対する影響を最大化することができるだろう」と指摘。「補正予算の公表のタイミング次第では6月にずれ込むリスクがある」という。

  BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは22日付のリポートで、「5月26、27日の伊勢志摩サミットを前に、2016 年度補正予算の骨格となる景気対策が打ち出される」と指摘。規模としては総額10兆円、予算ベース(真水ベース)で7兆円程度の規模を予想しており、日銀はその後に開く6月15、16日の金融政策決定会合で追加緩和に踏み切るとみている。

(10段落以降にコメントを追加し更新します.)
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