米利上げ余地、夏にかけて増大か-ECB静観の構えでドル高リスク減

  • ドラギECB総裁は、これまでに講じた政策効果を見極める意向示唆
  • ユーロが支えられる展開となれば、年内2回の米利上げの論拠を支援

欧州中央銀行(ECB)が先週下した政策決定は、追加利上げの時期を探る米金融当局にとって事実上、行動の余地を広げる内容となった。

  イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長率いる米当局は今後、実際にそうした機会を活用して利上げに踏み切るかどうか、判断を迫られることになる。

  ドラギ総裁は21日、これまでに講じた追加緩和策の効果を見極めるため、静観の構えを保つ意向を示唆した。これに伴い、米欧の金融政策の乖離(かいり)がより顕著となったとしても、急激なドル高を招くリスクは減り、米側は今後の追加利上げ実施のチャンスを与えられたと考えられる。

  INGバンクのチーフ国際エコノミスト、ロブ・カーネル氏(ロンドン在勤)は、「ドラギ総裁が描いて見せたいほどユーロ圏の状況は悪くないというのがECBにとっての現実であり、その結果ユーロは上昇、米金融当局に一層の行動余地をもたらす」と指摘。米利上げ時期は「7-9月(第3四半期)のいつか、というのが合理的に響くが、個人的には4-6月(第2四半期)の可能性も排除しない」と語った。

  フェデラルファンド(FF)金利先物の相場動向を見ると、投資家は26、27両日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げの確率をゼロとする一方、英国の欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票直前の6月14、15両日に開かれるFOMCでの利上げをめぐっても、20%の確率しか織り込んでいない。

  同月23日の英国民投票でEU離脱となれば、金融市場に動揺が広がって不透明感が増し、米利上げ先送りの根拠となる可能性がある。7月の利上げの確率は34%とされる。

年内2回なるか

  FOMC参加者が3月に示した最新の経済予測では、年内は2回の利上げが見込まれている。米経済は引き続き成長への障害を抱えているものの、ユーロ圏経済が緩やかに回復し、ユーロ相場を支えることになれば、今年2回の米利上げの論拠は強まる。

  ドルは今年初め、貿易加重ベースで2002年以来の高水準に達した後、下落に転じ、対ユーロでも下げつつある。輸入物価を押し下げたり、輸出の向かい風となって経済成長を抑制したりすることで、ドル高は過度の低インフレをさらに押し下げる一因となってきた。

  ドイツ銀行のチーフ国際エコノミスト、シュテファン・シュナイダー氏は、近い時期の米利上げは予想していないものの、ECBが静観モードに転じたことで、米金融当局は金融政策の引き締めがこれまでより容易になったと話す。

  シュナイダー氏は「イエレン議長が用心すべき理由の1つに挙げたドル高が最近、勢いを失ったことで、米金融当局の行動の余地はやや増えた」と分析。「ただ、現在の経済情勢は米当局が急いで行動する根拠にはならない」と付け加えた。

原題:Yellen’s Scope for Summer Rate Hike Widens as ECB Signals a Hold(抜粋)

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