投資家お気に入りのUBS、富裕層資産運用の利益は失望誘う恐れ

更新日時
  • ブラジルやロシアなどの顧客は昨年後半に3660億円の資金を引き揚げ
  • ウェルスマネジメントの業績は3四半期連続で期待外れとなる可能性

スイス最大の銀行UBSグループは、セルジオ・エルモッティ最高経営責任者(CEO)がトレーディング部門を縮小し、2兆ドル(約224兆円)を上回る富裕層顧客の資金運用に軸足を移す戦略転換をいち早く実行に移したことで、欧州のライバル行がうらやむ投資家お気に入りの銀行となった。

  その後3年が経過し、ドイツ最大の銀行であるドイツ銀行とスイス2位のクレディ・スイス・グループも、経営陣の刷新と証券業務の縮小に向けた徹底した人員削減を断行し、UBSに何とか追い付こうと躍起になっている。しかし UBS自体も新たな障害に直面しつつある。

  株式市場で損失に見舞われ、ビジネスがエネルギー価格下落の影響にさらされたブラジルやロシア、中東、アジアといった地域のUBSの顧客は、昨年後半の市場の動揺を避けてネットで32億スイス・フラン(約3660億円)の資金を同行から引き揚げた。

  不安定な市場の動きが年明けも続く状況で、 UBSの最大部門であるウェルスマネジメントの業績は、3四半期連続で期待外れの結果に終わる恐れがある。

  ボントベルのアナリスト、アンドレアス・ベンディッティ氏(チューリヒ在勤)は「運用資産の減少と利ざやの縮小に伴い、収入へのダブルパンチが予想される」と述べ、投資銀行と同じように「ウェルスマネジメントが循環的な変動に左右されるビジネスであることを人々は過小評価しているかもしれない」と指摘した。

  UBSの時価総額が解散価値である純資産の何倍かを示す株価純資産倍率(PBR)は125%と、ブルームバーグ・インテリジェンスがフォローする世界の投資銀行10行ではJPモルガン・チェースに次いで2番目に高く、UBSの株価は過去2年にわたり欧州の主要なライバルをアウトパフォームしている。

  クレディ・スイスは、リストラ費用と流動性の低い証券の評価損の影響で1-3月(第1四半期)の損益が黒字にならない可能性を予告し、ドイツ銀も2016年通期で利益を計上できないとの見通しを示した。

  これに対し、UBSが今月実施したアナリスト調査によれば、同行の1-3月の純利益は63%、ウェルスマネジメント部門(米国とカナダのブローカレッジベース富裕層向け資産運用業務を除く)の税引き前利益は34%それぞれ減少する見通しだ。同部門の利益は昨年7-9月(第3四半期)が9.6%減、10-12月(第4四半期)は47%減だった。 1-3月の決算は5月3日に公表される。広報担当のティム・コブ氏は、決算発表を前にコメントしないと述べた。

  過去の経験から見て、1-3月は1年で最も好調な四半期であることが多く、利益の減少が配当抑制につながる可能性がある。UBSのアナリスト調査によると、1-3月は全ての部門が減益になると予想されているが、投資銀行を除くと、ウェルスマネジメント部門の利益の落ち込みが最も大きくなりそうだ。UBSは15年分として普通配当0.60スイス・フラン、特別配当0.25スイス・フランの支払いを予定しており、エルモッティCEOは、16年については特別配当の支払いを想定していないとしている。

原題:UBS, Favored by Bank Investors, Hits Snag in Wealth Expansion(抜粋)

(チャートと配当への影響について追加して更新します.)
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