みずほ証:海外ビジネスで収益拡大へ、米国で50~60人の採用を計画

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みずほフィナンシャルグループ傘下のみずほ証券が、海外拠点で今期(2017年3月期)黒字を見込み、収益拡大のため米国でバンカーなど50ー60人を採用する計画であることが分かった。市場環境の急激な悪化などから国内勢が苦戦する中、対照的な動きを見せている。

  みずほ証の坂井辰史社長はブルームバーグの取材に、現在500人ー600人体制となっている米拠点でバンカーやバックオフィス担当者を採用し、今後1年間で人員を10%程度増やす考えを示した。またクロスボーダーの合併・買収(M&A)案件などを発掘するため、食品・飲料業界や医薬品産業でカバレッジを強化する方針だ。

  みずほFGは2015年に米国で英銀ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)から優良企業約200社の債権と120人の人員を取得、その後海外で投資銀行業務を強化している。野村ホールディングスや大和証券グループ本社などの国内勢が、海外で縮小や撤退を強いられる中、ビジネスの拡大を図る。

  坂井社長(56)は20日のインタビューで、海外ビジネスについて「本邦系では非常に順調に収益が上がっている」と述べ、今期黒字の計上を計画していることを明らかにした。また、アジアや米州で増員する方針で、「証券は専門性の高いビジネスで、優秀なプロフェッショナルを採用するために必要なコストをかける」とし、「マーケットプラクティス」を考慮した報酬を支払う考えを示した。

国内勢、海外業務で明暗

  みずほ証の米州、欧州、アジア拠点の前期の経常損益は、第3四半期(15年4ー12月)までの累計で66億円の黒字を確保している。これに対し同9カ月間で野村の税引き前損益は630億円の損失、大和も40億円の赤字となっている。みずほは15年3月期も126億円の黒字だった。

  みずほ証は現在1300人の海外人員を抱える。過去2年で200人増やしてきた。昨秋からはエクイティ業務拡大のため「毎月採用」を始め、東京、香港、ニューヨーク、サンフランシスコでセールスや調査、トレーディングの担当者45人以上を起用した。欧州では英国の独立系証券と業務提携で合意している。

  坂井社長はリサーチや営業部門の強化によりマーケットでのプレゼンスが向上してきているとの認識を示し、今度はそれを株式引き受けやM&Aアドバイザリーなどの投資銀行ビジネスの拡充につなげていきたいとの考えを示した。ブルームバーグのデータによれば、みずほFGは15年の株式の引き受けで4位、M&Aアドバイザリー業務では7位となっている。

  他の大手邦銀でも三井住友フィナンシャルグループ傘下のSMBC日興証券が英銀バークレイズから20年以上の経験を持つランディ・ゲルバー氏を米投資銀行業務の責任者に起用するなど海外証券ビジネスを強化している。同証の小野種紀常務は米州業務拡充のため、合計10人を超えない規模で「シニアバンカーの採用を今後数カ月間継続していく」考えを示した。

100件のM&Aを助言

  坂井社長は東京大学を卒業後、1984年に日本興業銀行に入行した。M&Aアドバイザリー業務を率いていた2002年から07年までの間、約100件のM&Aに携わった。みずほ証は06年のソフトバンクグループによる英ボーダフォン日本法人の買収(1兆8000億円規模)を助言している。

  ヨーロッパでの金融機関向けビジネスについて坂井社長は「ウォレットシェア」が大きいとして、人員の再配置などを含め業務を強化していく方針を示した。

  野村HDは海外で大規模なコスト削減を進めている。米国の企業調査と投資銀行業務の縮小に着手。欧州株調査やリサーチ営業、デリバティブ、引き受けなど中核業務を閉鎖し、人員削減は欧米で1000人規模に上る可能性がある。大和証Gもロンドンや香港で人員削減を含む組織再編を検討する考えを示している。 
 
  みずほFGの株価は25日、前日比1.5円(0.8%)高の182.8円で取引を終え、3月15日以来の高値となった。

英文記事: Wall Street Slump Isn’t Deterring Mizuho From Overseas Push (1)

(第11段落に株価動向を追加しました.)
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