【今週の債券】追加緩和観測で一段買い、長期金利マイナス0.2%視野

  • 長期金利の予想レンジはマイナス0.20%~マイナス0.05%
  • 今回の日銀会合で追加緩和予想は41人中で23人-ブルームバーグ調査

今週の債券市場では、日本銀行が週末に開く金融政策決定会合で追加緩和を決めるとの観測が強く、長期債などを中心に一段の買いが入る見込み。市場関係者の中には、長期金利の下限をマイナス0.2%とする予想もある。

  長期金利の指標となる新発10年物国債利回りについて、ブルームバーグが前週末に市場参加者4人から聞いた今週の予想レンジは、全体でマイナス0.20%~マイナス0.05%となった。前週は一時マイナス0.135%と3月18日以来の水準まで低下。利回り曲線にフラット化圧力が掛かり、20年、30年、40年がいずれも過去最低を更新した。日銀がマイナス金利を金融機関向けの貸し出しに対しても適用することを検討しているとのブルームバーグの報道を受けて、新発2年債利回りがマイナス0.29%と最低水準を塗り替えた。

  パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長は、同報道もあって、さらなるマイナス金利を織り込む展開になっていくと指摘。「10年債は短中期債に引っ張られ堅調に推移する見通し」と言う。

  日銀は27、28日に金融政策決定会合を開く。ブルームバーグがエコノミスト41人を対象に実施した調査では、今回会合で追加緩和を行うとの予想は23人(56%)だった。金利・量・質の3次元のうち、質の拡大を見込む向きが多く、指数連動型上場投資信託(ETF)の買い入れを10兆円追加するとの見方もある。

  野村証券の松沢中チーフストラテジストは、「今回は過半が追加緩和を見込んでいるものの、その内容についてコンセンサスが取れておらず、発表内容によって相場が大きく動く余地を残している」と指摘。「日銀は銀行収益の改善、短期市場取引の活性化、国債市場スクィーズ懸念の緩和という明確な3つの目的意識で動いてくると思われる。織り込み度合いなどを踏まえると会合後は株高、円安、債券はツイストスティープ化の可能性が高い」と予想する。

  SMBC日興証券の森田長太郎チーフ金利ストラテジストは、「為替、株価が戻ってきている中で、果たして市場の予想するような追加緩和が行われるのか疑問符が付く」と指摘。「一部報道であったような貸し出し支援オペのマイナス金利化のような政策が含まれた場合、直接金利押し下げに効くというよりは、銀行にとっての調達コスト低下が意識される分、プラス金利の超長期ゾーンへの過剰な需要が若干後退してスティープ化することも想定される」とみる。

流動性供給入札と2年債入札

  財務省が今週実施する国債入札は流動性供給入札と2年債入札の2本。25日の流動性供給入札は、残存存期間5年超15.5年以下が対象で、発行予定額が5000億円程度。27日の2年債の価格競争入札は表面利率が年0.1%に据え置かれる見込み。発行額は2兆3000億円程度。22日の入札前取引で2年物はマイナス0.275%で推移した。

  野村証の松沢氏は、2年入札について、「2年ゾーンは現物債が対スワップで割高。対スワップで購入する場合は、利下げ見送りの確信度が高いことが条件だ。逆に利下げの確信度が高ければ、2年債購入よりも、2 年スワップを受ける方が有効だろう。追加利下げに賭けてマイナス金利の現物債をディーリングする国内投資家は少なく、利下げ期待の織り込みは海外勢、スワップ主導で進みやすい」と分析した。

予想レンジと相場見通し

  市場参加者の今週の先物中心限月、新発10年物国債利回りの予想レンジと債券相場見通しは以下の通り。

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◎岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジスト
先物6月物=151円00銭-152円50銭
10年物国債利回り=マイナス0.20%~マイナス0.05%
  「追加緩和をある程度織り込む中、日銀会合の結果を見て、いったんは利益確定の売りが出るだろう。0.1%程度の追加利下げなら影響は限られそうだ。一方、利益確定売りとは言え、現状の金融政策でも債券を積極的に売れる人がいないのも事実だ。10年債利回りのマイナス圏での推移は変わらないだろう。米連邦公開市場委員会(FOMC)が利上げにやや強めのトーンなら米長期金利が上昇して円安・株高か。ただ、円債は下値で買いが強く、レンジは広がらないとみている」

◎パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長
先物6月物=151円85銭-152円60銭
新発10年物国債利回り=マイナス0.20%~マイナス0.10%
  「日銀決定会合については、貸し出しにマイナス金利を付けるだけでなく、付利のマイナス0.20%への引き下げも併せて行われるとみている。2年債利回りはマイナス0.3%、5年債利回りはマイナス0.3%まで低下してもおかしくない。短中期主導の相場が想定され、イールドカーブは今のフラットニングが一服し、スティープニングしていくだろう。とはいえ、超長期債については押し目買いにサポートされる展開で値崩れはしないだろう」

◎DIAMアセットマネジメントの山崎信人上席ファンドマネジャー
先物6月物=151円45銭-152円05銭
新発10年物国債利回り=マイナス0.13%~マイナス0.07%
  「これまでの超長期ゾーンの金利低下はマイナス金利政策や追加緩和期待があったので、日銀が何を出してくるかは別にして、今あるロングを多少落とすのではいかとみている。市場コンセンサスはないものの、日銀はマイナス金利の拡大はやらないのではないか。多少 ETF購入の増額か。ここまで増やしているので国債も大量に買い増すことは難しい。付利下げなら話は別だが、ETFなら金利が下がる要因ではない」

◎アムンディ・ジャパンの浜崎優市場経済調査部長
先物6月物=151円70銭-152円50銭
新発10年物国債利回り=マイナス0.14%~マイナス0.08%
  「相場は高値圏での推移が継続しそう。景気や業績不安で買われるのではなく、需給の良さに支えられる。ただ、足元は市場センチメントがリスク選好に傾いている。株価は堅調、為替はドル・円相場が1ドル=111円台に乗せてきている。このため、今回の日銀決定会合では追加緩和を温存するとみている。緩和なしなら、株式や為替市場でいったん売りが出るだろうが、センチメントの改善もあって、それほど大きな失望売りにはつながらないとみている」

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