「資源確保が命題」減損打撃後でも1000億円超の銅投資-住友鉱社長

  • 追加出資した米モレンシー鉱山の生産コストは150セント前後と低い
  • 金の権益倍増に向け資源メジャーからの資産取得や豪探鉱など検討

住友金属鉱山の中里佳明社長は20日、ブルームバーグとのインタビューで「強みの製錬事業を生かしていくために必要な資源をいかに確保するかが最大の命題」と語り、同社にとって過去最大となる1000億円超の投資を決めた米国の銅鉱山権益の追加取得の狙いを語った。

  住友鉱は2月、北米最大のモレンシー銅鉱山の権益13%を米銅生産最大手のフリーポート・マクモランから総額10億ドル(約1100億円)で追加取得すると発表。1986年から資本参加している住友鉱の同鉱山への出資比率は25%に高まる。今年前半の取得完了を見込む。資源価格の下落で銅事業においても多額の減損計上を迫られる企業が国内外で相次いだ。そうした状況の下での大型投資であったことからも注目を集めた。

  中里社長はモレンシー銅鉱山の生産コストは1ポンド当たり150セント前後(1トン=3300ドル前後)との認識を示した上で「現在の銅価格でも十二分にやれる」と収益性の高さを指摘。その上で「鉱石確保から製錬事業までの一気通貫でコストを安くし、安定的に製品を供給できる企業が世界で勝ち残れる」と述べた。

  21日のロンドン金属取引所(LME)の銅価格(3カ月物)は1トン当たり5011ドルとなっている。住友鉱では19年3月期の銅価格の前提を1トン当たり6000ドル、中長期的な見通しは7000ドルと置いている。

  今回の権益取得によって住友鉱の自社権益からの銅鉱石調達量は地金換算で年間23万トン超になる。既存の出資先鉱山の増産などで2022年3月期には同30万トンまで拡大する方針。国内に持つ銅地金製錬所の年間生産能力は45万トン。必要原料の3分の2を安定確保できる体制を築く。

需要伸び悩む環境に変化なし

  足元の経営環境については「中国の経済減速に伴い、非鉄金属の需要の伸び悩み、あるいはマイナス成長となる環境は大きくは変わっていない」と指摘。一方、過去50年を振り返ると世界の成長率に沿って金属資源の需要も伸びてきたと説明。「もの作りの会社としては、需要の伸びに対して供給責任を果たしていくことが会社の存在価値を示す上でも大事だ」と述べた。  

  一方、フル生産の開始が遅れているチリのシエラゴルダ銅鉱山については「今年の上期中にめどをつけたいが、もう少し遅れそうだ」との見通しを示した。鉱石を砕いてモリブデン精鉱と銅精鉱に分ける工程でモリブデンの回収率が改善していない状態という。9月までには問題解消につなげたいとした。住友鉱は前期(15年3月期)にシエラゴルダ銅事業で689億円の減損損失を営業外費用に計上。その結果、前期の経常損益は40億円の損失と、14年ぶりの経常赤字に陥ったもようだ。

  同社は22年3月期に金についても、持ち分生産量を現在の年間16トンから30トンへと拡大する目標を掲げる。資源価格の低迷で業績不振に陥った資源メジャーなどが金鉱山の権益を手放す動きが出始めているとして、投資機会を狙う。オーストラリアの探鉱会社ゴールド・ロード・リソーシズと新たな金鉱山の探鉱事業に取り組むことも検討案件の一つだと述べた。

  ゴールド・ロードは4億5500万豪ドル(約390億円)規模の西オーストラリア州のグリュイエール探鉱事業を進めるための提携先を募っている。ゴールド・ロードによると生産開始から12年にわたり年間26.5トンの金生産が見込まれる事業。住友鉱はゴールド・ロードと共同で同国内で別の探鉱事業を手がけている。  

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