日銀トレードめぐり短期国債が大暴れ、銘柄外しで応急措置か

更新日時
  • 3カ月物603回債利回りがマイナス1%に急低下
  • 短国買い入れオペ、603回債は対象に含まれず

21日の短期金融市場では、入札を終えたばかりの国庫短期証券の利回りがマイナス1%台まで急低下する異常な現象が起きた。市場関係者から日本銀行の買い入れオペでの売却をねらった動きとして注目を集めたその銘柄は、きょうの金融調節で対象から外れた。

  過去に例のないマイナス金利を記録したのは3カ月物国庫短期証券の603回債。財務省が実施した入札では、最高落札利回りと平均落札利回りがともに過去最低を更新したものの、マイナス0.2%前後と前回入札の601回債の落札水準に比べて4-5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低い程度だった。

  異変が起きたのは、同入札後の流通市場だ。債券の業者間取引を仲介する日本相互証券によると、603回債は利回りがマイナス0.40%-マイナス0.50%前後の水準で始まった後も買われ続け、一時はマイナス1.037%を付けた。「ホップ、ステップ、ジャンプでマイナス1%と、あまりにひどい値動きだった」と、セントラル短資総合企画部の佐藤健司係長は指摘した。

603回債は対象に含まれず

  日銀はこの日の午前の金融調節で実施した国庫短期証券の買い入れオペで、前回15日より5000億円多い1兆5000億円程度を購入した。これまでは、前営業日に入札が実施された新発3カ月物を買い入れの対象に含まれることが慣例だったが、603回債は買い入れ対象銘柄に含まれなかった。

  東短リサーチの寺田寿明研究員は、「603回債は利回りが下がり過ぎているという判断だろう。買い入れ額が1兆5000億円と予想したほど膨らまなかったため、1社あたりの応札上限額は買い入れ予定額の4分の1のままだった。買い入れ額よりも応札制限の方を優先したということではないか」と指摘し、「600回債の時に日銀の姿勢を示したが、再び同じような展開になり、規制をさらに強化したのだろう」との見方を示した。

  日銀が量的金融緩和の一環として購入している短期国債をめぐっては、7日の流通市場でも似たような動きがあった。発行額4.4兆円の3カ月物600回債は入札後にマイナス0.50%まで急低下して過去最低を記録。日銀は8日の短期国債オペの買い入れ額を短資会社の予想を下回る1兆円台に抑え、1社あたりの応札上限額も買い入れ予定額の2分の1から4分の1まで制限した。

  バークレーズ証券の押久保直也債券ストラテジストは、「オペで日銀に高く売りつける動きに歯止めが効かなくなっている。日銀は翌日の買い入れオペで応札上限を買い入れ予定額の4分の1まで制限する措置を取ったが、それでも日銀トレードがワークする。日銀はさらに何かしらの対応を迫られている」と言う。

  セントラル短資の佐藤氏によると、今月は3カ月物の他に6カ月物や1年物と、日銀トレード待ちの銘柄が大渋滞している状況。「5月の連休が控えていることも影響し、このまま日銀が予定通りの資金を供給できないと量的・質的金融緩和の限界という話も生じかねない。日銀は買い入れ額を増やさざるを得ないと読まれている面もあるかもしれない」と言う。

  短資会社では、日銀による今月の短期国債買い入れは3回で合計6兆円が予想されていた。一方、先週までの2回分の買い入れ額2.7兆円と今日の分の合計は4.2兆円程度と、市場予想の7割程度にとどまっている。

  この日の買い入れオペは引き続き金額が1兆円台に抑えられたものの、応札倍率が1.18倍と札割れをほうふつさせる水準まで低下した。東短リサーチの寺田氏は、「在庫が一部の参加者に偏っていると、オペで応札制限をしたまま金額を増やすと札割れのリスクが高まる」と指摘している。各銘柄の売買参考値に対する案分落札利回り差はマイナス0.250%と金利の下げが大幅に拡大した。

(第10段落を追加して更新します.)
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