日立CEO:デジタル駆使、米GEなどと戦う基盤構築-次期中計

更新日時

国内電機首位の日立製作所の東原敏昭社長兼最高経営責任者(CEO)は、ITと制御技術を組み合わせた統合インフラシステムを世界的に提供できる企業に構造改革を進め、かねてからライバルとしてきた米ゼネラル・エレクトリック(GE)などと競う基盤作りの最終工程に入る考えを示した。来月発表する次期中期経営計画で概要を明らかにする。21日のブルームバーグとのインタビューで述べた。

  今後3年間の構造改革ではデジタル関連の中核分野では積極的に合併・買収(M&A)を行う一方、デジタルとの関係性が低い事業は「スピンオフなどを検討する」と述べ、事業の切り離しを行う可能性を示した。売上高よりも「利益率とキャッシュを重視した経営姿勢とする」という。

  洗濯機などの家電から原子力発電システムまで手掛ける日立では、デジタル技術を既存事業に応用させることで利益率を高めたい考えだ。ブルームバーグの集計データによると、10%台を長期目標に据えている日立の営業利益率は2010年3月期の2.3%から15年3月期に6.6%まで上昇。一方、GEは10年12月期に9.4%だったが15年12月期には6.2%に低下。独シーメンスは10年9月期に8.8%で、15年9月期には8%と日立は歴代社長が名指ししてきた競合に肩を並べつつある。

  東原CEOは、営業利益率6%台を確保する基盤はこれまでの改革を通じ「既にできた」と述べ、もう一段の改革で将来的に10%台を目指す考えを次期中計に反映させると話す。また、キャッシュフローを重視することで、M&Aなどで資金が必要な際に借り入れで財務基盤を痛めずに済む可能性があるという。継続してきた年間1000億円規模のコスト削減については、質も意識しながら今後規模を拡大していくと語った。

成長ドライバー

  東原CEOは、世界展開する中でより重点を置く地域について、北米や中国、インドを挙げた。日本では、政府が取り組む産業競争力会議での名目国内総生産(GDP)600兆円に高めるためのロボットやAI(人工知能)のデジタル技術関連の成長戦略に「非常に深く絡んでいく」として商機を見いだしているとし、国内、海外こだわらず各地域の潮流をうまく捉えながら事業を広げるとの考えを示した。

  「日立は成長ドライバーを見つける必要がある」と、企業調査会社のシェアードリサーチ・インクのアナリスト、ルーベンスタイン氏は指摘する。さまざまな機器をインターネットでつなぐ「IoTといわれる技術を駆使した取り組みは、将来的に日立の利益に大きく寄与するはず。日立の考える総合的なソリューション提供による顧客の課題解決は実現すれば革新的なことで、評価している」と述べた。

  日立は1日付で経営体制の強化を狙い、従来のカンパニー制を廃し12業種のフロントビジネスユニット(BU)制に移行。さらに各ユニットを横断する形でIoTプラットホームのBUを設置した。東原CEOは各BUトップの連携で、世界中の顧客の課題解決にこれまで以上に迅速に取り組むと述べた。14日にプラットホーム事業へ3年間で1000億円を投資すると発表したが、「足りないかもしれない」と述べ、追加投資の可能性も言及した。

  東原氏は、従来の社長の肩書に加え4月1日付で中西宏明会長からCEO職を引き継ぎ、名実ともに日立のリーダーとなった。5月13日に16年3月期業績、18日には東原CEOが主導した新しい中期経営計画を発表する予定。

(第4段落以降を加えます.)
    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE