ブランクファイン氏が見たウォール街の10年、ゴールドマンにも変化

  • 収入は第1四半期としてはブランクファインCEO就任来で最悪
  • 株主資本利益率6.4%は資本コストを下回る

ウォール街が過去10年にどう変わったかを見るには、ロイド・ブランクファイン最高経営責任者(CEO)の下でのゴールドマン・サックス・グループを見ればいい。

  同CEOは2006年6月に就任。業界一の収益力を誇ったゴールドマンの今年1-3月(第1四半期)の収入は、第1四半期としてはブランクファイン氏の下で最低だった。株主資本利益率(ROE)に至っては6.4%と、株主のために価値を生み出せる会社だと見なされる水準ではなかった。

  ゴールドマンの決算内容はウォール街を取り巻く包括的な構造変化の結果であり、同社を含め金融各社が新たな業界環境への適応で十分な措置を講じているのかという疑問を突き付ける。ゴールドマンは環境が改善されれば市場シェアを拡大し利益も増やせるだろうとして、債券トレーディングの低迷期が過ぎるのを待とうとしている。しかし、業界は本当に回復するのだろうか。回復するとしても遅過ぎることはないだろうか。

  年初に荒れた市場は3、4月に安定を取り戻したため、今年の残りは収入が改善する可能性が示唆されると、ジェフリー・ハート氏らサンドラー・オニール・アンド・パートナーズのアナリストが19日のリポートに記述した。しかしゴールドマンの1-3月決算は、困難を増す環境の中を世界的な投資銀行が渡っていくことの難しさを示した。ブランクファイン氏(61)は08年の金融危機をうまく切り抜けたほか、09年に過去最高益を計上。危機前の住宅ローン関連投資商品の販売をめぐる米議会の追究もかわし、評判がた落ちのゴールドマンをなんとか導いた。

  同社の昨年の収入は06年に比べ10%減少。今年1-3月は市場変動と資産価格下落で投資家の行動も企業の合併・買収(M&A)も低調となり、収入はさらに抑制された。

  ウォール街の各社はいずれも収入減を経費削減で補わざるを得ない状態だが、JPモルガン・チェースとバンク・オブ・アメリカ(BofA)は消費者向け事業が収入の支えになる。ブランクファイン氏もその方向に踏み込んだ。機関投資家のみを顧客としたビジネスモデルを離れ、預金金融機関を傘下に置いたほかオンライン融資業務も計画している。

  同CEOはテクノロジーにも投資。技術革新を推進し機械でできる仕事に人間を使うのはやめようというわけだ。プログラマーなどこのための人員を増やし、コンサルタントや派遣社員を含めた従業員数は3万6500人。06年5月末はこれらの人員を含めないベースで2万4000人だった。

  報酬とその他の費用も節約する。1-3月の報酬外費用は約7年ぶりの低水準だった。事情に詳しい関係者によれば、サポートスタッフの削減や顧客サービスに直接つながらない航空運賃やホテル代金、接待費用の節約、人員補充の見送りなどで一段の費用低下を図っている。

  一方で、トレーディング重視を変えるつもりはない。CEOはゲーリー・コーン社長とともに株主宛て年次書簡で、債券市場の回復を待つと表明している。コアな部分では「純粋な投資銀行を維持」しているとポータレス・パートナーズのアナリスト、ポール・ガルバーグ氏が論評した。

  ブランクファイン氏がハンク・ポールソン氏の後を引き継いだ06年のゴールドマン収入は約380億ドル、07年は460億ドルだった。08年には半減したものの、12年には約340億ドルに回復。以来4年間はほぼ横ばいで推移した。アナリストが知りたがるのは、収入がいつ増えるのか、どうしたら増えるのかだ。より大きな変化を求める声に対してハービー・シュワルツ最高財務責任者(CFO)は19日ゴールドマンの戦略を擁護し、「環境をコントロールすることはできない。長期的な目で見る必要がある」と述べた。

原題:Blankfein’s Decade Ending With a Thud on a Humbled Wall Street(抜粋)

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