三菱自が燃費不正、国交省が立ち入り検査-株価はストップ安

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車両の燃費試験データを実際より良く見せる不正操作をしていた三菱自動車株が値幅制限いっぱいのストップ安で取引を終えた。愛知県岡崎市にある名古屋製作所・技術センターに対しては、国土交通省が立ち入り検査をした。

  三菱自の株価は21日、取引開始からストップ安の売り気配が続き、終値は前日比20%(150円)安の583円とストップ安だった。20日の取引でも一時、ストップ安となっていた。

  三菱自は20日、燃費試験データで不正操作があったと発表。対象は2013年6月から生産の軽自動車「eKワゴン」と「eKスペース」、日産自動車向け「デイズ」と「デイズルークス」の計4車種、3月末までに三菱自は計15万7000台、日産自向けで計46万8000台を生産、両社計で62万5000台になる。業績への影響は精査中とした。不正による燃費の差は5ー10%という。

  国土交通省は三菱自の名古屋製作所・技術センターに対して、20日に続き21日も立ち入り検査をした。三菱自・広報担当の井上徹二氏は21日、「昨日発表した燃費検査の不正行為を受け、国交省による立ち入り検査を受けている」とし、「真摯(しんし)に受け止め、検査に全面的に協力していく」とコメントした。

  格付投資情報センター(R&I)は21日、三菱自についてリポートで、顧客対応や該当車種の生産・販売停止などにより収支・財務への悪影響は避けられないとして、格下げ方向のレーティング・モニターに指定した。三菱UFJモルガン・スタンレー証券シニアアナリストの杉本浩一氏は、最も懸念されるのはレピュテーションリスクとした上で、業績への影響は予想困難だが甚大と言わざるを得ないとメモで指摘している。

  三菱自は20日午後から該当車の生産・販売を停止し、日産自でも販売を停止。今後は補償について協議するとしている。海外市場向け車両についても調査する。さらに独立性のある外部有識者のみの調査委員会を設置し、3カ月をめどに結果を公表するという。

操作は意図的

  三菱自の相川哲郎社長は20日に会見し、燃費数値を良く見せるため、「操作は意図的だった」と述べた。不正行為が繰り返されることについて「コンプライアンスを全社員に徹底することの難しさを痛感し、無念で忸怩(じくじ)たる思い」と語った。国内法規定と異なる試験方法があったことも分かった。中尾龍吾副社長は、一般登録車についても02年までさかのぼり調査していると話した。

  今回の不正は日産自の指摘で発覚した。いずれの車両も三菱自が燃費試験をしたが、日産自が次期車両開発に際して該当車の燃費を参考に測定すると届け出値と隔たっていた。確認を求められた三菱自は社内調査し、実際より燃費に有利な走行抵抗値を使用していた不正が判明した。

  国内自動車販売で4割近くを占める軽自動車市場ではシェア争いが激化する中、三菱自と日産自は軽自動車を共同開発して販売していた。生産は三菱自の水島製作所(倉敷市)。相川社長は、20日午後から停止している生産ラインについて、調査が終わっても新たな届け出をするまで再稼働しないと話した。雇用問題などについては今後、労働組合とも相談する考えを示した。

  環境対象車への燃費基準による減税措置(エコカー減税)に関して、中尾氏は、減税対象が変わったと確認できた場合、差額を返納する考えを明らかにした。

  菅義偉官房長官は21日午前の会見で、データを恣意的に改ざんしたものと指摘し、「消費者の信頼を損なう行為であって、あってはならないことだ。極めて深刻な事案」と述べた。国交省が20日に三菱自に対して、27日までに詳細について文書で報告するよう指示したことを明らかにした。その上で、「不正の全容を1日も早く解明して、ここは厳正に対応して、この車の安全というものを確かなものにしていきたい」と話した。

  日産自・広報担当の奥田浩司氏は、三菱自から供給を受けているのは今回の2車種だけで、他のモデルに問題はないとコメントした。今後発生する可能性があるコスト分担については何も決まってないと話した。

過去にも不正

  三菱自をめぐっては2000年にリコールにつながるクレーム情報を当局に届け出ていなかったことが発覚。その後も車輪脱落・死傷事故で虚偽報告していた問題もあり、03年度から3年連続の大幅赤字に陥った。

  検査の不正では、独フォルクスワーゲンのディーゼル車で昨年、米国の排ガス測定で検査時だけ排ガスのコントロール機能がフル稼働する不正ソフトを使用した問題が発覚していた。

(第5段落にR&Iの格付け情報を追加し、株価を終値にして更新.)
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