米リセッションの早期警戒信号、埋もれがちな米雇用データに点灯中

  • FRBの労働市場情勢指数、3カ月連続低下-6カ月平均もマイナス
  • サマーズ氏:3年内のリセッション確率、五分五分よりかなり高い

2016年の米経済は不安を感じさせるスタートを切ったものの、コップの水は半分入っていると主張する世の中は、米雇用市場の強さを引き合いに心配は無用だと言う。月々の雇用者の伸びが20万人を超えている限りは米経済は安泰であり、楽観的な見方も変わらないと。

  しかし雇用統計のヘッドラインの下に埋もれがちなデータに目を向けると、そこには勢いを失いつつある労働市場の姿を垣間見ることができる。雇用統計に含まれる一時派遣労働者数は過去2回のリセッション(景気後退)の前にピークを付けたが、それがいま頭打ちになろうとしている。また米連邦準備制度理事会(FRB)のエコノミストらが設計し、イエレン議長が注視する労働市場情勢指数は、2009年以降で初めて3カ月連続で下げている。

  「少し心配になってきた」と、人材紹介会社エクスプレス・エンプロイメント・プロフェッショナルズのボブ・ファンク最高経営責任者(CEO)は語る。景気悪化の兆候が表面化すると真っ先に切られるのは派遣労働者だとして、「この業界は常にリセッションの最前線に立たされる」と述べた。

  雇用者数全体が増加していても、一時派遣労働者はこの3カ月のうち2カ月で減少し、年初からこれまでに1.8%ダウンしている。この状態を「足踏み」とファンク氏は表現する。企業にこれら労働者を派遣するエクスプレス・エンプロイメント・プロフェッショナルズを1983年に共同創業した同氏は、「昨年は10%アップで終えた。今年に入ってからは2-3%アップ程度にとどまっている」と話した。

  米経済が2001年にリセッション入りする11カ月前に、一時派遣労働者数はピークを付けていた。07年から09年にかけてのグレートリセッションの前では、このタイムラグは1年4カ月だった。

  労働市場情勢指数でも状況は似ている。同指数は一時派遣労働者を含む19の労働市場関連統計を基に算出される。2001年リセッションの9カ月前、07-09年リセッションの5カ月前に同指数の前月比変化率の6カ月移動平均はマイナスに転落していた。

  このベースでみると3月はマイナスに転じた構成データが多く、前月比の6カ月平均はわずかながらマイナス圏に入った。リセッションの前兆となるような悪化というより、むしろ足踏みしている可能性が示唆されている。

  バークレイズの米国担当チーフエコノミスト、マイケル・ゲーペン氏(ニューヨーク在勤)は2009年6月に始まった景気サイクルについて、「恐らく3分の2あたりに来ているのだろう」と話す。

  ローレンス・サマーズ元米財務長官は15日にマサチューセッツ州ケンブリッジで開かれたエコノミストの会合で、過去の景気サイクル変動に基づくと「今後3年内にリセッションに陥る確率は五分五分よりかなり高い」と考えられると述べた。

原題:Early Warning Signs of Recession Flash Faintly in U.S. Jobs Data(抜粋)

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