エネット:電力市場活性化には強制措置必要-自主的な供給は低水準

  • 大手電力会社の自主的取り組み開始後も市場通じた取引は低迷
  • 発電量10-30%の取引所での売電を義務化すべき:エネット小林氏

電力小売りが4月1日に全面自由化し、発電設備を持たない新規参入企業を中心に卸電力市場の活用が期待されていたが、市場参加者からは取引は盛り上がりに欠けるとの声が上がっている。市場の活性化に向け、新電力最大手エネットの幹部は、大手の電力会社に対してスポット市場で一定量の電力を売るよう義務づけるべきだとの考えを明らかにした。

  エネット経営企画部の小林浩部長はブルームバーグのインタビューで、発電量の10-30%程度を電力の日本卸電力取引所のスポット市場で売却するよう大手電力各社に義務化すべきだと話した。市場への供給が増えれば、2014年度には約1割だった同社販売量に占める取引所からの調達割合は今後増加すると期待する。

  東日本大震災後に大きく進展した政府の電力システム改革により、沖縄電力を除く大手電力9社は13年3月、発電量の余剰分をスポット市場で売買する自主的な取り組みを開始。しかし取引所で取引されたのは14年度で全販売電力量の1.5%と、前年度からの増加は0.2ポイントにとどまった。15年8月以降九州電力の川内原発などが再稼働し、供給余力が改善した後も市場を通じた取引は低水準にとどまっており、有識者の間でも強制的な措置を検討すべきとの声が広がりつつある。

  経済産業省産業が設立した電力・ガス取引監視等委員会が3月に開催した有識者会合では、委員の松村敏弘氏(東京大学教授)が「もはや自主的な取り組みでは全く機能しないということはこれ以上ないくらい明らかになった」と述べ、「自主的な取り組みに任せてしばらく見ています、というのはもはや怠慢以外の何物でもないのではないか」と指摘した。

ハードル高い強制措置

  エネット経営企画部長の秋山一也氏は「電力会社といっても公に近い私企業なので、そこのものを強制的に出すのはハードルが高い」と認める。しかし「自主的取り組みの限界が来る中、市場の活性化や競争環境の実現のためにはこれまでとは違う手が必要」と述べた。

  東京電力ホールディングスの広瀬直己社長は15日の会見で、自社で発電した電力は割高なために取引所には出せないとし、むしろ市場では購入する側になっていると明かした。4月から持ち株会社制に移行した同社は、傘下の発電会社が発電した電力が割高なために自社グループの間でも売りにくくなっており、結果として火力発電所の発電量が下がっていると話した。市場取引の活性化では、原発の再稼働や新たな発電所の建設が手っ取り早い方法だとの見解を示した。

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