BNPの日本小型株ファンドに海外資金流入、職人かたぎ運用評価

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日本の小型株に投資するBNPパリバ インベストメント・パートナーズのファンドに、欧州やアジア、中南米投資家の資金が流入している。原油価格の下落や為替の円高進行などで国内景気・企業業績への不透明感が生まれ、海外投資家の資金が逃げた日本株市場全体の動きとは対照的だ。割安な成長株を徹底的に探し抜く運用者の職人気質も、投資家からの評価を集めている。

  BNPパリバ インベストメントの「パーベスト・エクイティ・ジャパン・スモールキャップ」(ルクセンブルク籍)の純資産総額は3月末に785億円と、昨年末に比べ14%増加。年初来のファンドリターンはマイナス4.1%と、ベンチマークのラッセル・野村小型株指数を4.2ポイント上回った。ブルームバーグ・データによると、過去5年間では同類の小型株ファンドの98%に対しアウトパフォームしている。

  BNPパリバ インベストメントのトニー・グラバー運用本部長はブルームバーグのインタビューで、「多くの顧客はETFや大型株ファンドに投資してきたが、日本のエクイティ・ポートフォリオにもう少し多様性を加えるため、小型株を追加してきている」と指摘。ことしに入り欧州やアジア、中南米の新規、既存顧客から120億円を超す資金が流入したことを明かし、「他の人が売っている時は買い始める好機」と述べた。

  原油価格の低落や中国経済の減速、米国の利上げによるマネーフローの変調懸念で年明けから世界の株式市場は波乱に見舞われ、為替市場での円高加速も響いた日本はTOPIXが1ー3月に13%下落と世界93の主要株価指数の中でウクライナやイタリア、中国、モンゴルに続くワースト上位国となった。19日時点のTOPIXの年初来騰落は12%下落と、なお低迷中だ。

  株式需給面で日本株安を主導したのは海外投資家で、東京証券取引所の投資部門別売買動向によると3カ月連続で売り越し、累計売越額は5兆円超。米バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチがまとめる世界のファンドマネジャー調査では、4月に日本株に対する投資姿勢が2012年12月以来、3年4カ月ぶりにオーバーウエートからアンダーウエートに転じた。

実際の運用は三井住友アセットに委託

  日本株全体に処分売りの姿勢を強めた海外勢だが、BNPパリバのファンド動向が示すように、ことしに入り有望な小型株には投資意欲を見せている。海外投資家による3月の東証2部の売買代金シェアは26.4%、マザーズは24.5%と昨年の23.7%、21.4%からそれぞれ上昇。株価指数の年初来パフォーマンスも、19日時点でTOPIXスモール指数がマイナス9.8%、東証2部指数がマイナス8.2%、07年以来の高値を更新したマザーズ指数に至ってはプラス36%と、TOPIXコア30指数のマイナス14%など大型株をアウトパフォームしている。

TOPIXスモール指数とコア30指数のパフォーマンス比較

  「パーベスト・エクイティ・ジャパン・スモールキャップ」の実際の運用は、BNPパリバが日本の三井住友アセットマネジメントに委託している。三井住友アセット・株式運用グループの松嶋俊介ヘッド(51)はブルームバーグの取材で、現在の日本株は「金融緩和への感応度が落ち、大型株が物色されにくい相場になった。国内景気がやや低迷しており、市場全体が大きく上がることは見込みにくい」とする半面、「金融緩和で行き場のない資金はあふれ、小型株に向かっている」と指摘した。

  BNPパリバのグラバー氏は、同ファンドが投資家の注目を集めている点について市場環境の変化だけではなく、運用哲学とファンドマネジャーの経験と銘柄選別能力も挙げる。「パーベスト」では、PERが10倍程度とバリュエーションが割安な上、今後は新規事業などが拡大し、大幅な利益成長の見込める銘柄に投資する「Value to Growth(バリュー・トゥー・グロース)」戦略を取っている。

  松嶋氏が同戦略に傾倒するきっかけとなったのが村田製作所の存在だ。大阪勤務時代に優れた電子部品会社としてのポテンシャルを感じ、1992年にファンドマネジャーになった後、PER12倍程度で投資を開始。その後、携帯電話の部品会社として世界的な企業に成長し、株価(分割考慮)は昨年までの30年間で9.5倍になった。「村田の評価は当初低く、皆がいいと思いだし、バリューからグロースに変わった。そういう良い銘柄はたくさんある」と同氏は振り返る。

組み入れ上位はJマテリアやTPR

  「パーベスト」の3月末時点の組み入れ銘柄数は130社で、ポートフォリオ上位はジャパンマテリアルTPR日成ビルド工業パイオラックスウェルネット。トップのJマテリアは半導体・液晶工場向けの特殊ガスや装置メーカーで、PER10倍程度の時に組み入れを始め、現在は20倍程度にまで評価が進んだ。投資銘柄の多くはアナリストがカバーしておらず、松嶋氏が企業から聞き取りをするなどし、組み入れ判断を行っている。同ファンドでは、組み入れ銘柄の時価総額上限を5000億円に定めており、超えれば売却する。

  松嶋氏は、「私自身はファンドマネージャーだが、職人と思っている。経験を積んできたことがここまでできた要因」と自身を分析。日本の小型株市場は米国に次いで大きく、「まだ磨かれていないダイヤモンドの原石も混じっている。目、足を使って粘り強く探していくと、良いものはまだ見つけられる」と意気込みを示した。

  ゴールドマン・サックス証券は19日付のリポートで、16年度の主要テーマの一つは小型株と指摘。大型株と比べ高い利益成長見通しに加え、内需との強い関連性や外国人の売りに影響されにくい点などから中期的にアウトパフォームが続く、とみている。

(ゴールドマン・サックス証券の小型株見通しを文末に追記します.)
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