円全面高、原油急落受けリスク回避-ドーハ会合失望で資源国通貨売り

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  • 対ドルで一時107円77銭、11日の1年5カ月ぶり高値107円63銭に迫る
  • 対ユーロでは121円72銭と2013年4月以来の水準まで円高進む

18日の東京外国為替市場では円が全面高。産油国会合による増産凍結の合意失敗を受け、原油先物や資源国通貨が急落する中、リスク回避に伴う円買いの動きが強まった。ルー米財務長官が日本の円売り介入をけん制するような発言をしたことも、円買いを後押しした。

  円はカナダドルやオーストラリアドルなど資源国通貨に対して前週末比1%以上上昇。対ドルでは早朝に1ドル=107円77銭と先週末のニューヨーク市場終値(108円76銭)から約1円値を切り上げた。その後、108円台半ばまで戻す場面も見られたが、円買い優勢の流れは変わらず、午後3時35分現在は108円03銭前後。円は対ユーロで一時1ユーロ=121円72銭と2013年4月以来の高値を付け、同時刻現在は121円91銭前後で取引されている。

  みずほ銀行国際為替部グローバル為替営業チームの竪智司次長は、ドル・円は産油国間で増産凍結の合意がなされなかったことや日米の為替へのスタンスにギャップがあることなどを手掛かりに売られており、「市場のセンチメント的にも下攻めがしやすくなったとは思う」と説明。欧米市場で原油価格がさらに下押ししたり、リスクオフムードがさらに高まったりした場合には、今月11日に付けた約1年5カ月ぶりの円高値107円63銭を割り込む展開になりそうだと語った。 

  石油輸出国機構(OPEC)加盟国や非加盟の他産油国が参加したカタールの首都ドーハでの会合は、増産凍結で合意できなかった。増産を計画するイランは17日の同会合を欠席。ロシアのノバク・エネルギー相が会合終了後に記者団に語ったところによれば、サウジアラビアなど湾岸諸国が、イランを含む全OPEC加盟国が参加しない合意には同意しない姿勢を示し、協議は暗礁に乗り上げたという。

  増産凍結合意の失敗を受け、原油先物相場はアジア時間18日の時間外取引で急落。米株価指数先物も値下がりし、東京株式市場では日経平均株価が600円近い下げとなった。

  クレディ・アグリコル銀行の斎藤裕司外国為替部長は、熊本地震の被害が拡大しており、交通網や生産への影響が出始めていることも株にとってポジティブではないと指摘。原油安の再燃など条件がそろって「ドル・円は重い展開」と説明した。 

   ルー米財務長官は15日、20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の終了後に記者会見で、「最近の円高にもかかわらず、為替市場は秩序を保っている」と述べた。これに先立ち、麻生太郎財務相はルー米財務長官らとの間で、無秩序な為替相場の動きは望ましくないことを再確認したと述べていた。

  IG証券の石川順一マーケットアナリストは、円買い圧力が強まっている背景には「日米当局の為替政策への態度で食い違いが示唆されたこと」もあるとし、月末に日本銀行の金融政策決定会合を控えて、「円高・株安やアベノミクス政策能力への批判が高まりかねず、日銀は動かざるを得ない状況」と指摘した。

  一方、クレディ・アグリコル銀の斎藤氏は、「ルー米財務長官の発言は為替介入全体を否定しているわけではない」とし、「通貨安競争に参加すべきではないと言っても、スムージングオペレーションであれば介入できないわけではない」と指摘。「財務省は過度な為替の変動には対処すると思う」と話した。

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