安倍政権:補正論議加速へ、消費税・解散戦略に影響も-熊本震災

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  • 「できることは全てやりたい」-菅官房長官が補正予算問われ発言
  • 安倍首相は大震災級の事態なら消費増税延期の可能性に繰り返し言及

安倍晋三首相

Photographer: Franck Robichon/EPA
Photographer: Franck Robichon/EPA

マグニチュード(M)7.3を記録した熊本地震の発生は、九州地方のインフラや企業活動、物流に大きな打撃を与えており、2016年度補正予算案の編成論議が加速する見通しだ。経済対策や17年4月からの消費増税の是非、衆参同日選を含めた衆院解散戦略など安倍晋三政権のかじ取りにも影響を与える可能性がある。

  菅義偉官房長官は17日午後の記者会見で、被災地の復旧経費について仮に16年度予算の予備費で足りない場合は補正予算も含めて対応するのかとの質問に、「できることは全てやりたい」と表明。18日の衆院環太平洋連携協定(TPP)特別委員会では、民進党の緒方林太郎氏が「補正予算の可能性も含めて検討すべきではないか」と質問し、安倍首相も「必要な手段はあらゆる手段を講じていきたい」と答弁した。

   政治評論家の有馬晴海氏は熊本地震発生を受け、政府は被災地の災害復旧や復興に限らず、全国規模での防災対策を盛り込んだ大規模な補正予算を編成することになる、との見方を示した。震災関連を盛り込んだ補正予算案なら「野党は追及できない」とも語った。

消費税

  首相はこれまでの国会答弁や記者会見などで、リーマン・ショックや大震災級の事態が発生しない限り、予定通り増税すると繰り返し述べてきた。熊本地震のマグニチュード(M)は7.3で、1995年の阪神・淡路大震災に匹敵する。自民党内などから延期論が出ている17年4月からの10%への消費税率引き上げを予定通り実施するかどうかの首相判断にも影響する可能性がある。

  菅官房長官は18日午前の会見で、熊本地震による消費税増税判断への影響に関する質問に対し、「そうしたことについて今の時点で答えることは控えたい」と述べた。ワシントンで先週末開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に出席した日本銀行の黒田東彦総裁は15日(日本時間16日)、マグニチュード(M)7.3を含む地震が起きた熊本地震をめぐって、経済に与える影響を注意深くみていく意向を明らかにしている。

  仮に増税を見送る場合は、安倍首相が衆院を解散し、7月に1986年以来、30年ぶりの衆参同日選に踏み切るとの見方が与野党議員らの間で取り沙汰されている。24日には与野党候補の一騎打ちとなった衆院北海道5区補選が投開票日を迎える。

  バークレイズ証券の森田京平チーフエコノミストは15日付のリポートで、被災地の現状をみれば、「解散などしている場合とは思えない」と指摘。「消費増税先送りをしながらも衆参同日選挙を避けるという選択肢は無視できない」との見方を示した。

  安倍首相が今国会会期末の6月1日に解散する可能性は比較的、難しくなったと指摘する一方、消費増税は衆参同日選なしでも延期を決断するかもしれないと指摘した。

  政治評論家の有馬氏は熊本地震の発生や衆院北海道5区補選の結果が安倍首相の解散戦略に影響を与えることはないとの見方だ。「ここはダブルをやるしかないと思って安倍さんは動いてきた」と述べ、北海道5区補選に勝利すれば「衆参ダブルの流れが加速するだろう」とも語った。

  読売新聞電子版は18日、衆院北海道5区補選の情勢は横一線で競り合っていると報じている。

(第2段落を差し替え、第5を加筆、7、9段落を追加します.)
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