三井住友Fがアメリカを強化へ、IB業務の熟達者ゲルバー氏起用

更新日時
  • 米州でシニアバンカーの採用を実施へ-SMBC日興小野常務
  • 「日本のナンバーワンは三菱UFJ」、互角に戦う考え-清水社長

三井住友フィナンシャルグループは18日、アメリカで投資銀行グループを設立した。企業の買収・合併(M&A)などのディールを開拓するための組織を初めて立ち上げる。一方で、野村ホールディングスやゴールドマン・サックスは米州でコスト削減に動き出している。

  SMBC日興証券の清水喜彦社長はインタビューで、英銀バークレイズから20年以上の経験を持つランディ・ゲルバー氏をマネジングディレクターとして米国拠点の投資銀行業務の責任者に起用したことを明らかにした。ニューヨークを拠点に案件獲得を狙う。

  米独立系投資銀行モーリスとの提携から5年、三井住友Fは独自で投資銀行業務の強化に乗り出す。メガバンクではみずほフィナンシャルグループも米国で同様の動きを見せており、野村との戦略の違いが鮮明だ。三井住友銀行の副会長だった清水氏はSMBC日興の新社長に就任、日本企業とのネットワークをてこに、手数料ビジネスの拡大に着手する。

  清水社長(60)は12日のブルームバーグとのインタビューで、「M&Aアドバイザリーを積極的にやりたい」と述べた。新設のグループはM&A関連の情報収集など、クロスボーダー案件の発掘に取り組むという。その上で「日本の技術を欲しがっている企業は多く、海外が日本を買うことも増える」との見通しを示した。

米州でシニアバンカー採用へ

  ゲルバー氏は20年以上にわたる投資銀行業務の経験を持つ。アジアではテレコム・メディア・テクノロジーのヘッドだったほか、直近ではバークレイズ(ニューヨーク在勤)でテクノロジーサービスの責任者を務めていた。

   SMBC日興の小野種紀常務は、ゲルバー氏について「インベストメント・バンカーとして非常に豊かな経験を持ち、顧客との長期関係構築にも強みを有している」と評価。また競合他社が業務を縮小する中、「われわれは米州でのビジネス発展に非常に大きなポテンシャルを感じている」と述べている。

  米ゴールドマン・サックスのパートナーだった小野常務は、米州業務を拡充するため、10人を超えない規模で「シニアバンカーの採用を今後数カ月間継続していく」考えを示した。
 

野村、米ゴールドマン

   三井住友Fの米国でのこうしたビジネス拡大は、野村が同地域で業務を縮小する動きと対照的だ。同社は米国株の調査と投資銀行業務の縮小に着手、ヨーロッパでは欧州株のリサーチ、リサーチ営業、デリバティブ、引き受け業務を閉鎖し、人員削減は欧米で1000人規模になる可能性がある。

  野村の具体的な人員削減の計画のうち投資銀行部門については、既に海外で約60人の削減を決めたことが15日までに明らかになっている。香港での14日の社内説明会に参加した幹部らによると、米国の同部門では20人を削減する計画という。
  
  米投資銀行のゴールドマンでも、トレーディングやディールメーキング業務の不振を乗り越えるため、過去数年で最大のコスト削減に乗り出している。サポートスタッフの一段の削減を開始したほか、顧客に直接役立たない限りは会社がバンカーの航空運賃やホテル、接待非の支出を拒否することが増えているという。

MUFGと競合へ

  ブルームバーグの集計によれば、2015年の日本企業関連のM&A助言では、三菱UFJフィナンシャル・グループと米銀大手の合弁である三菱UFJモルガン・スタンレー証券が首位、野村と三井住友Fが続いた。

  三井住友Fは12年、三井住友銀行によるモーリスへの約9300万米ドルの出資を発表。日本企業のクロスボーダーM&Aの助言業務で提携関係を強化した。

  SMBC日興の清水社長は「日本の金融グループのナンバーワンは三菱UFJで、それと同等にならなければ、世界で戦える訳がない」と述べ、MUFGと競合していく意欲を示した。また、三井住友Fが「一段と大きくなるためには直接金融で大きくなることがグループの発展につながる」と証券業務の重要性を語った。

  SMBC日興はリテール業務も増強する方針で、清水社長は支店の営業員を現在の約2000人から2019年3月末には3200人に増やしたい考えを示した。収益の拡大にはリテール拡充は必須で、そのために投資銀行や海外ビジネスを強化し、魅力ある商品供給を行うことが重要だと述べた。

(第10段落に外国投資銀行の動きを追加しました.)
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