日銀待つ設備・人材指数、S&Pダウ月内発表へ-1部の200銘柄

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新たな資産買い入れ対象として、日本銀行が登場を待ちわびる設備・人材投資に積極的な企業で構成される上場投資信託(ETF)。そのベースとなる新たな株価指数を日本取引所グループと共同で開発中の米国の指数算出会社、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスは月内にも詳細を発表する予定だ。新指数は、TOPIXにも採用される200銘柄から成り立っている。

  S&Pダウの日本オフィス統括責任者である牧野義之氏は7日、ブルームバーグの英語インタビューで「指数立ち上げの最終段階にある。われわれは今月中にローンチしようとしている」と話し、ETFを組成する運用会社とともに「5月後半、6月には商品の準備ができるだろう」との見通しを示した。

  牧野氏は、新指数は東証1部全体の値動きを示すTOPIXを元にしていることを明らかにした上で、構成銘柄数は「200銘柄だ。多様性に富み、特定の産業のバイアスがかからない数」と述べた。具体的な設備投資、人材投資に積極的企業の選定過程では、特に人材投資の面で外部企業によるESG(環境、社会、企業統治)スコアリングを活用したという。15日時点でTOPIXを構成するのは1935社。

  日銀は昨年12月、年間3兆円のETF購入方針を継続すると同時に、量的・質的金融緩和の補完措置として新たに「設備・人材投資に積極的に取り組んでいる企業」の株式を対象としたETFの購入を決定、年間3000億円の買い入れ枠を設定した。同枠による買い入れはことし4月からとし、新規のETF組成まではJPX日経400インデックス連動ETFを購入対象とした。実際、日銀は今月4日から3000億円の新枠を使い、毎営業日12億円ずつ買っている。

  日銀は3月15日に設備・人材投資ETFに関する指数の基準を公表した。設備投資からの銘柄選定は有価証券報告書など企業の定量情報を最低1つ用いることとし、人材投資では定量開示情報か、企業の人材投資に関するその他情報の利用を求めている。信用力を担保するため、直近3期いずれかの決算で債務超過、直近3期全てで営業損失または純損失が発生、監理・整理指定の銘柄は除外し、おおむね1000銘柄以上の母集団から構成銘柄は100以上と定めた。銘柄見直しは、年1回以上とした。

  牧野氏は、メディアでは新指数が安倍政権の切望する賃上げの支援につながると政治的に捉える向きがあるが、「賃金上昇のためだけに指数をデザインするなら、1つのファクターが企業にネガティブに働く可能性がある」と指摘。賃上げは銘柄選定用件の一部でしかなく、「人材育成や人権など多くをケアしている」と言う。 

  また同氏は、日銀による新ETFの買い入れルールで銘柄ごとでは時価総額の2分の1の範囲内と定めていることに言及。「半分は一般の投資家が買わなくてはいけない。リターンは重要な要素で、TOPIXをアンダーパフォームするなら誰も買わない。われわれは注意深く管理しなければならない」と述べた。現時点のバックテストでは、開発中の新指数はTOPIXをアウトパフォームしている。

  牧野氏とのインタビューに同席したS&Pダウのアレックス・マトゥーリ最高経営責任者(CEO)は、ESGを使う「ソーシャルエンジニアリングタイプのプロジェクトは日本のみならず、他市場でもトレンドとなっている」とし、カナダが景気刺激策を講じる際も同社が新指数の作成に携わったことを明らかにした。「市場のある特定の分野での投資を刺激したいときに、指数は使われる」としている。

  一方、野村証券は15日、収益性が高く、適切な設備・人材投資などの還元政策に積極的に取り組む日本株銘柄で構成する「野村企業価値分配指数」の算出、公開を開始した。時価総額加重型で、国内上場銘柄の中から利益や配当、設備投資、研究開発費、人件費などを基にした定量的な評価指標で上位300銘柄を選定。構成銘柄のウエート上限を3%とすることで、大型銘柄へのウエートの偏りを抑えた。

(9段落に野村証券の新指数に関する情報を追記します.)
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