三菱商事:訪日客増でホテルも対象のファンド組成へ、超低利下で妙味

更新日時
  • 昨年のホテル稼働率はシティ、ビジネスとも調査開始来最高-観光庁
  • 藤田取締役:マイナス金利の中で利回り追う資金は不動産に流入へ

アベノミクス効果で訪日観光客が増加する中、三菱商事の子会社で不動産ファンド運営のダイヤモンド・リアルティ・マネジメントは、年内にも投資対象に初めてホテルを盛り込んだ新たなファンドの組成を目指している。日本銀行のマイナス金利政策の下でも、プラスの収益を維持している不動産金融商品への関心が高いと判断している。

  同社の野津彰ストラクチャードファイナンス部部長は5日、ブルームバーグのインタビューで、「年内に組成を目指すファンドの中で、成長性への期待が高まっているホテルを投資検討の対象にしている」と述べ、物流・商業施設などのほかホテル向け債権の投資にも取り組む考えを示した。首都圏や関西圏、福岡など地方主要都市のホテルについて、投資家からファイナンスの相談も増えているという。

  国内のホテルは客室稼働率が上昇。観光庁によると、2015年の稼働率はシティホテルが約80%、ビジネスホテルは約75%と10年の調査開始以来、最高だった。東京、京都、大阪のほか、福岡や沖縄でもシティホテルを中心に稼働率が8割を超え、大阪のリゾートホテルの稼働率は9割を上回った。また米総合不動産JLLによると、15年の日本のホテル売買件数は過去最高となり、前年比約6%増の111件だった。

  日銀のマイナス金利政策で、年限10年以下の国債利回りがマイナス圏に沈んでおり、同社の藤田正敦取締役は「投資家が運用難になっている中で、投資妙味があるファンド組成を提供していく」と述べた。野津氏は「国債等利回りが低い金融商品に比べて、不動産など利回りが高い不動産金融商品の相対的な魅力が増しているのではないか」として、不動産の運用商品に対する投資家ニ-ズが高まっているとの見方を示した。

  不動産証券化協会がまとめた世界各国(28カ国・地域。15年3月末株式時価総額)の上場REIT市場規模ランキングでは、1位が米国の約115兆円、2位が日本の約11兆円だった。国債の利回り低下や株価下落などで、機関投資家の運用状況は悪化。コンサルタント会社のウイリス・タワーズワトソンによると、国内年金基金の運用利回りは15年度は推計マイナス1.2%と7年ぶりにマイナスだった。

インバウンド

  政府が訪日旅行者数の増加を目指す中で、観光庁によると15年は前年比47.1%増の1974万人。円安効果もあり、大阪万博以来45年ぶりに訪日客が出国者数を上回った。国内外の観光客増加が店舗の賃料やホテル客室の需要増などを通じ地価上昇に反映しており、国土交通省の公示地価(1月1日時点)によると、東京・大阪・名古屋の三大都市圏は商業地が前年比2.9%上昇(前年1.8%上昇)した。

  最も地価が高い銀座4丁目の山野楽器銀座本店は1平方メートル当たり4010万円となり、銀座の価格としてはリーマンショック前のミニバブル期を超え過去最高。大阪市中央区心斎橋筋や古都の京都市、温泉地の大分県由布市、那覇市などでも地価上昇が目立っている。
  
  JLL日本法人のホテルズ&ホスピタリティグループの寺田八十一氏は、「マイナス金利で投資家の資金が不動産市場に流れる中で、インバウンド増がホテルに対する投資意欲を高めている」と述べた。ホテルは買い手が多い売り手市場だとしたうえで、「ホテルの投資トレンドは今後も続く。ファイナンスも付きやすいだろう」と述べた。

メザニンファンド

  ダイヤモンド・リアルティ・マネジメントは主に国内外の機関投資家から資金を募り、不動産私募ファンドを組成・運用している。15年12月末の預かり資産残高は3700億円。3月には大阪の物流施設などを投資対象として、リスク度合いが融資と出資の中間に当たるメザニンデット型としては4本目のファンドを2年弱ぶりに組成していた。年5-6%の利回り目標を設定し、資産規模は同社の過去のメザニンファンドの中では最大規模だった。

  今回、検討している新たなファンドもメザニン型で、前回の4本目を上回り、同社として最大規模を目指すとしている。

  不動産投資が活発化している分、賃料などを収益源とした投資利回りは低下。同社取締役の藤田氏は、投資案件のうちエクイティ部分の投資家にとって「今のマーケットだと利回りが出ない」と話す。メザニンローンを提供することで、より高い配当を望む投資家のリターンを増やす狙いがある。

(第5段落を加筆して、更新しました.)
    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE