阿蘇山や熊本城、「くまモン」人気の熊本-震度7で地域経済に影響も

  • 日銀支店3月短観で先行きDIすでに悪化、宿泊・飲食はマイナス
  • 「清正流」の石垣も被害、九州新幹線は全線ストップ

阿蘇山や熊本城、海外にも人気のあるゆるキャラ「くまモン」などの観光資源を擁する熊本県を襲った震度7の地震で、今後観光など地域経済に影響を指摘する声が出ている。

  日本銀行熊本支店が2月25日から3月31日に実施した県内企業短期経済観測調査の全産業の業況判断によると、「良い」から「悪い」を引いたDIは「最近」がプラス7だったが、「先行き」はマイナス1に悪化。うち観光関連業種をみると、宿泊・飲食サービスは「最近」が0なのに対し、「先行き」はマイナス11、小売りは「最近」プラス20で「先行き」プラス5と、先行きはいずれも悪化する見通し。

  みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは、熊本の宿泊・飲食サービスなどの先行きのDIが失速していることについて、「新興国経済の減速を背景とするインバウンド消費の陰り」が織り込まれているのではないかと指摘。今回の地震で、先行きがさらに悪化する可能性があると述べた。

  県の観光資源の一つである熊本城は、14日の地震で石垣が一部崩れた。熊本城のホームページによると、明治時代以来建物が次々と取り壊され、西南戦争では天守閣や本丸御殿まで燃えたが、「清正流」と呼ばれる石垣はほとんどが残り、熊本市では毎年、保存管理に努めているという。JRでは、熊本駅から車両所に向かう回送中の新幹線が脱線し、博多-鹿児島中央を結ぶ九州新幹線がストップ。一部在来線も熊本中心に止まっている。

  上野氏は「日本経済は成長力が弱く、しかも『力強く持続的なけん引役が不在』という弱点を内包する不安定な状態」と指摘、「予想外の強いショックが加わると、景気は後退局面に陥りやすい」と述べた。

観光客

  熊本県の観光統計表(2014年)によると、県内への観光客総数(日帰り客含む)は前年比3.6%減の約5900万人で、4年ぶりに減少に転じた。一方で、外国人宿泊客は同14.3%増の約48万人で、国別では51%を占める韓国が一番多く、台湾、香港、中国と続いている。

  内閣府によると、12年度の熊本県の名目国内総生産(GDP)は5.6兆円と、全国GDP(500.2兆円)の1.1%に相当する。1995年に阪神淡路大震災のあった兵庫県の3.7%(18.3兆円)、11年の東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島、茨城の4県を合わせた6.2%(31.2兆円)より小さい。

  バークレイズ証券の森田京平チーフエコノミストは15日付のリポートで、「熊本県は兵庫県、茨城県、福島県などよりも製造業の比率が小さく、同県を含む九州は『域内交易型』で産業連関を通じた他地域への波及は相対的に限られる」とみている。

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