熊本地震で新幹線が4度目の脱線、復旧に時間も-JR九州に試練

更新日時
  • 過去3回は運転ミスのほか中越地震、東日本大震災が原因
  • 回送中のため乗客はなく、負傷者はない

14日夜の熊本地震で、日本の誇る高速鉄道の新幹線が脱線した。回送中で乗客は乗っておらず、負傷者はなかったが、新幹線の歴史で過去に3度しかない脱線事故。復旧のめどは立っておらず、九州の動脈に混乱が生じている。

  脱線したのは、熊本駅を出発して熊本総合車両所に向かう6両編成の800系車両。国土交通省鉄道局担当者によると、運転士は走行中に激しい揺れを感じ、非常ブレーキをかけ停止後、全車両で脱線が確認されたという。JR九州は15日、全線で新幹線の運行を見合わせており、熊本中心に一部在来線も止まっている。

  新幹線が開通した1964年から今回を含めて脱線は4度目。73年の国鉄時代に運転ミスで脱線。その後は2004年の新潟県中越地震、11年の東日本大震災と大地震で脱線したが、いずれも死者は出ておらず大事故とはなっていない。JR東日本によれば、安全確認のため復旧まで中越地震で2カ月、東日本大震災で49日掛かった。JR九州としては初めての新幹線脱線だ。

  石井啓一国交相は、15日の閣議後会見で「早急に状況を把握して一刻も早い復旧に向けて頑張っていただきたい」と述べた。JR九州広報担当の南里裕允氏は同日午後、電話取材で「余震が多く安全確保のため、現時点ではまだ復旧作業に着手できていない」と述べ、復旧のめどは立っていないとした。運輸安全委員会は、事故調査のため3人の調査官を現地に派遣することを決めている。

  ANAは15日、熊本-伊丹など計6便の臨時便、JALグループも福岡-鹿児島で計10便の臨時便を飛ばしている。ANAの広報担当、伊藤真帆氏は「九州の南北を結ぶ新幹線ルートが途切れてしまっているので、同じ公共交通機関として可能な限り利用者を支援する形で対応したい」と述べた。

経営への影響

  JR九州の資料によると、15年4-9月の新幹線収入は前年同期比5%増の258億円。鉄道旅客運輸収入に占める割合は35%に達する。

  水戸証券のアナリスト、若林惠太氏は新幹線脱線について「大動脈であるので、九州にとっては重要」とし、JR九州の経営に関しては「線路に乗せないといけないので影響は出るが、報道を見て何日かかるか分からない」と述べた。

  同社が今年度内の上場を計画していた矢先のドル箱路線の脱線事故。広報担当の南里氏は、上場への影響について「現時点では何も言えない」と述べるにとどまった。同社株式を保有する鉄道・運輸機構の広報担当者は、新幹線復旧後の報告を待っている状態だと説明している。

(第5、6、8段落を追加し、更新しました.)
    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE