107円台「強烈」,企業収益に黄信号-安倍政権下で最大下落予想も

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安倍晋三首相は過去3年、伸び続ける企業業績を政権維持の後ろ盾としてきたが、再び円高が進み始めたことで局面が変わりつつあるようだ。

  大和証券の分析によると、2016年4-6月期の主要企業の経常利益は前年同期比9.7%減となり、第2次安倍内閣が発足した12年12月以降の四半期ベースで最大の落ち込みが予想される。投資家の懸念は株価にも表れており、世界の主な指数のうちTOPIXの年初来騰落率は最悪の一つとなっている。大和証券ではTOPIX500の構成銘柄中、IBES四半期予想がそろう41社について集計し、分析した。

  収益予想の落ち込みの背景には急激に進行した円高の影響がある。為替相場は11日、1ドル=107円63銭まで進行。対ドルで108円を割り込んだ水準は14年10月以来と、ほぼ1年半ぶりの円高となった。為替相場の動向は輸出企業の業績に直結しており、円が対ドルで4割下落した3年間にトヨタ自動車、富士重工業など自動車メーカーを筆頭に最高益を更新する企業が相次いでいた。

  ユニクロブランドのカジュアル衣料を国内外で展開するファーストリテイリングは7日に発表した15年9月-16年2月期の上半期決算で、円高進行により為替差益が差損に転じ、前年同期比で合計424億円の減益要因になったと発表した。岡崎健最高財務責任者(CFO)は「円高が進んだ場合は為替損はある」と会見で述べた。

短観の統計を上回る水準まで円が上昇

  トヨタに対しては複数のアナリストが収益見通しの下方修正を行っている。ブルームバーグが集計した17年3月期営業利益の予想は、1ドル=121円台だった昨年8月末時点と比較して19%下落して2兆7612億円(アナリスト24人の平均)となった。トヨタは対ドルで1円の為替変動が営業利益ベースで400億円の増減につながる。

  SMBC日興証券投資情報部の太田千尋部長は「107円台は強烈な円高の水準だ」と話す。同社の分析では「110円前提でみれば自動車と機械はほとんど減益」になるといい、115-120円でないと「厳しい環境」だという。「他の部分でなんとか補って増益にできる水準が110円だ」と述べた。

  ドル・円相場は14日午後2時1分時点での取引で、1ドル=109円43銭。ブルームバーグの集計データによると、市場予想の平均は16年4-6月に114円、17年には120円となっている。

(チャートを加えます.)
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