野村:欧州株式ビジネスから撤退へ-「暴風雨」で人員削減不可避に

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  野村ホールディングスが欧州株式の中核ビジネスからの撤退と、大規模な人員削減を計画していることが複数の関係者への取材で明らかになった。同社は海外での黒字化に長年取り組んできたが、実現することはなかった。

  関係者によれば、野村は欧州株のリサーチ、営業、トレーディング、引き受け業務からの撤退を計画。同時に米州でも、米国株の調査や関連ビジネス、投資銀行部門の縮小を計画している。海外事業の見直しに伴う削減数は1000人規模に達する可能性がある。子会社のインスティネットを通じた欧州株の売買執行サービスは継続する。

  野村の12月末時点の人員は欧州が3433人、米州は2501人。現在の市場環境下で欧米事業をいったん縮小するが、グローバル市場で業務展開していく方針は変えず、今後は日本を含むアジア地域に注力していく。クレディ・スイスバークレイズなども人複数の業務の撤退や縮小を決め、人員削減を進めている。

  イースト&パートナーズでシニアアナリストを務めるジョナサン・チャン氏(シンガポール在勤)は「大きなトレンドは銀行の本国回帰だ。そこにはより強く大きなプレゼンスがある」と話す。「リーマン危機後、各社は燃え上がる山火事のように業容を拡大してきたが、金融機関への規制が厳格化される中で、次の戦略を慎重に計画する必要がある」と述べた。

  野村HD株は13日、前日比7.8円(1.6%)高の489.3円と2日続伸して取引を終了した。12日は欧州株ビジネス撤退計画の報道が伝わると上昇幅を拡大、終値は同7.4%と2カ月ぶりの上昇率を記録しており、この2日間の上昇率は9.2%となった。

「良い面と悪い面」

  野村は12日夕、「欧州地域および米州地域におけるビジネス戦略について」を発表。「世界経済の先行きに対する不透明感が強まり、ビジネス環境は急激に変化してきた」として、欧州で一部のビジネスを閉鎖、米州で合理化を進め収益性の高い分野に経営資源を集中させる方針を明らかにした。大幅なコスト削減につなげる。

  しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹運用部長は、野村の欧米事業見直しについて「良い面と悪い面がある」と指摘。「規制強化から顧客管理にコストがかかっており、やみくもに拡大するのではなく海外金融機関と同様にコストを考えなくてはならない局面に来ている」とし、一方で「日本で人口が減少する中、海外に収益の活路を求めなくてはならない」と述べた。

  米格付け会社ムーディーズのシニアバイスプレジデント、レイモンド・スペンサー氏は12日付のリポートで、野村は従来よりも「アジア中心」のビジネスモデルの追求によって、リスクプロフィルの改善とビジネスのボラティリティ低減が実現できる見通しだと指摘、クレジットポジティブと評価した。

欧州拠点の累積赤字

  野村は長年にわたり、海外事業の拡大と縮小を繰り返してきた。2008年にはリーマン・ブラザーズの欧州・アジア事業を買収したが、コストや損失が膨らむ中で同地域の事業を縮小した。

  野村の欧州事業は2015年12月までの9カ月間で、506億円の税引き前赤字を計上している。米州は6四半期連続の赤字となっている。海外事業の通期黒字は10年3月期が最後。11年3月期以降、海外では欧州拠点が累積で最も大きな赤字となっている。

  野村の永井浩二最高経営責任者(CEO)は2月のブルームバーグとのインタビューで、海外黒字化の時期について、「この暴風雨の中で今そのような議論をしても仕方がない、残念ながら」と述べ、黒字化に向け一層のコスト削減に着手する考えを示していた。

英文記事:Nomura Said to Exit Europe Equities as Nagai Reverses Expansion

(第8段落にムーディーズの評価を追加しました.)
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