見えざるマネーメーカー、昨年の原油価格下落局面で活躍

  • ほとんど知られていないトレーダーらが原油・ガス安値で利益上げる
  • ボラティリティ上昇でグレンコアなどの取引部門の利益が増加

結び付きが緊密なエネルギー業界でも彼らはほとんど知られていない。ジュネーブやロンドン、ヒューストンの街頭でも気付かれることはない。しかし、一握りの企業の幹部らが昨年、石油業界で異彩を放っていた。彼らは原油価格が下落したにもかかわらず、いや、下落したからこそ活躍したのだ。

  フランスのトタルやシンガポールのトラフィギュラ・グループなどエネルギー業界の多数の企業で、稼ぎ頭として台頭してきたのは取引業務。

  ビトル・グループは世界最大の独立系エネルギー取引会社だ。創業50年の同社の昨年の純利益は16億ドル(約1700億円)と過去4番目の高水準となった。石油担当チーフトレーダーのマーク・クーリング氏率いる複数のチームの戦略が奏功したことなどが寄与した。

  商品業界中心の人材スカウト会社ヒューマン・キャピタルのマネジングディレクター、ダミアン・スチュアート氏は「昨年は石油取引業界全体にとって、2008-09年以降で最高の年になった」と振り返る。

  石油取引各社は価格変動が大きかったことによる恩恵を受けた。先物市場が順ざやとなっていた原油に重点を置き続けたことも利益につながった。順ざやは先物価格が現物価格よりも高い状態で、各社は原油を安く購入し後に売却するためにタンクに貯蔵、デリバティブ(金融派生商品)を通じて利益を確定することができた。

  ビトルはドバイ沖で原油を貯蔵するため運搬能力300万バレルの世界最大級のタンカーを用船。グレンコアなどの競合企業もカリブ海のセントルシアや南アフリカ共和国のサルダニャ湾などで陸上貯蔵施設を確保し利益を上げた。

  商品取引世界最大手のグレンコアの場合、鉱山事業は苦戦したものの、石油事業責任者のアレックス・ベアード氏の下で、昨年の利払い・税引き前利益(EBIT)は7億7800万ドルと前年比で49%増加。グレンコアは「市場のボラティリティ(変動性)の高さと順ざやの継続、精製マージンの環境が良好だったことやタンカー利用のリターンが有望だったこと」が利益につながったと説明している。

  スイスのコンサルティング会社ペトロマトリックスのマネジングディレクター、オリビア・ヤコブ氏は「安値と順ざやが取引会社に有利に働いた。利益を上げやすい環境だ」と指摘する。

  トタル傘下のスイスのトタル・トレーディングではトマ・ウェイメル氏の下で昨年、原油・石油精製品の取引量がほぼ8%増加。利益も増えたと見込まれる。

  トラフィギュラではホセ・ラロカ氏率いる石油取引チームがこれまでで最高の業績を挙げた。昨年9月までの1年間の粗利益は50%増加し17億ドルとなった。

原題:The Invisible Money Makers Who Thrived During 2015 Oil Slump (1)(抜粋)

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