パチンコ機器のサン電子、犯罪捜査協力で事業拡大-買収、新株も

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  • 科学捜査で買収、「100億円でも200億円払ってでも」と山口社長
  • 拡張現実やM2Mにも事業拡大を検討、東証1部か2部へ指定替えも

愛知県北部の江南市に本社を構えるパチンコ関連機器メーカー、サン電子が中東イスラエルに持つ子会社が、世界各国の情報機関や警察の駆け込み寺になっている。犯罪に使われた携帯電話のデータ抽出依頼が増えており、買収による事業拡大を模索している。

  山口正則社長(67)は8日のインタビューで、テロ組織による事件が世界中で相次ぐ中、携帯電話やスマートフォン向けの犯罪捜査システムとサービスを手がける子会社セレブライトの売上高は、今後数年間にわたり、年間最大20パーセントの伸びが見込まれると話す。

  犯罪捜査で電子機器に残った記録データを収集・分析する「フォレンジックがらみで買収を考えている会社がある」と明らかにし、「100億円でも200億円払ってでも将来の成長に必要であればやらなくてはいけない」と述べた。具体的な社名は挙げず、携帯電話からサービスの範囲を広げるため「PCフォレンジックの会社に興味がある」と話すにとどめた。

FBIやCIAも

  東証ジャスダックに上場するサン電子の株価は、セレブライトが米カリフォルニア州サンバーナディーノで昨年起きた銃乱射事件の容疑者の「iPhone(アイフォーン)」ロック解除で米連邦捜査局(FBI)に協力したと報道されてから急伸した。事情に詳しい複数の関係者によると、顧客リストにはFBIのほか、米中央情報局(CIA)や国際刑事警察機構(インターポール、ICPO)も名を連ねる。昨年パリで発生した同時多発テロの捜査にも協力していたという。

  株価は4月に入って軟調に推移していたが13日は反発、前日終値比17%高のストップ高となる1049円で取引を終了した。サン電子はセレブライトの顧客や、同社の製品やサービスが関与する具体的な捜査案件について情報を公開していない。FBIは誰が捜査に協力をしたのかを開示せず、CIA、パリのテロ事件を担当する検察当局はともに取材に対しコメントを控えた。インターポールはパリのテロ事件は警察当局が捜査にあたっており、セレブライトが協力したか確認できないと述べた。

  サン電子は13日、セレブライトとインターポールがパートナーシップ契約を締結したと発表した。

多角化

  サン電子は1970年代からパチンコの遊技台部品などを製造してきた。その後、パソコン開発やモバイルゲームも手掛けたが、業績が低迷。そんな中、事業の多角化を図るため2007年に買収したのがイスラエルのセレブライトだった。

  セレブライトは1999年創業。モバイル端末からデータを抽出するソフトウエアと端末を販売している。山口社長によると買収当時、携帯電話販売店向けのデータ移行サービスが中心で科学捜査分野には参入していなかったが、その後、世界の警察や司法当局を顧客として獲得していったという。40人程度だった社員は500人を超え、現在はイスラエル以外に米ニュージャージー州や中国北京など8拠点を構えるまでに育った。

  ブルームバーグが集計したデータを基にサン電子の事業別売上高を見ると、14年3月期にモバイルデータソリューション事業は遊技台部品事業を上回り、15年3月期の売上高で136億円と、全体の半分に達した。山口社長によれば、モバイル事業の売り上げの大部分はセレブライトによるものだという。

新株発行も検討

  山口社長は「セレブライトは犯罪捜査機器を提供するエキスパート。世界の安全と平和を維持するための協力をするのは一つの使命」と話す。こうした協力への需要は国内外で続くとみており、「ここで終わりというのはない」と言う。一方、「今まではセレブライト頼みだった」と述べ、拡張現実や機器同士を通信手段によってつなげるM2Mの領域での事業を拡大する考えも示した。

  同社長はジャスダック市場から「できるだけ早く東証1部か2部に上場したい」と述べ、その際には最大200万株の新株発行による資金調達を視野に入れていると話した。

(最後の2段落に社長の発言を加えます.)
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