日本株は反発、為替安定とリスクオフ巻き戻し-輸出や金融、鉄鋼上げ

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12日の東京株式相場は反発。ドル・円相場の落ち着きを受け、輸送用機器や機械、電機など輸出株が見直され、欧州の銀行株高などが好感され、東証1部33業種の上昇率トップは銀行だった。野村ホールディングスなど証券株も上げ、鉄鋼市況の上昇が追い風となった鉄鋼株も高い。

  TOPIXの終値は前日比19.56ポイント(1.5%)高の1299.35、日経平均株価は177円66銭(1.1%)高の1万5928円79銭。

  DIAMアセットマネジメントの武内邦信エグゼクティブポートフォリオマネジャーは、「一気に円高が進んだ後、麻生財務相発言で為替が小康状態となっており、下げを先導してきた自動車や銀行株中心に買い戻しが入っている。いったん下げ過ぎの反動」とみていた。

  11日のニューヨーク為替市場ではドルが下落し、一時約9カ月ぶり安値を付けた。連邦公開市場委員会(FOMC)による追加利上げは早期に実現しない、との見方が広がったため。一方、きょうのドル・円相場は1ドル=108円30銭近辺と、11日の日本株終値時点107円92銭に対し円安気味で推移。麻生太郎財務相は12日、一方的な偏った投機的な動きあれば必要な措置を取ることや、20カ国・地域(G20)では為替の過度の変動や無秩序な動きは金融の安定に悪影響を与えるとの認識で合意した、と閣議後会見で語った。

  11日の欧州株は続伸し、先週売りを浴びたバンコ・ポポラーレ、UBIバンカなどイタリアの銀行株が上げを主導。同国の財務省と中央銀行の当局者が大手銀行の幹部らと不良債権処理に取り組む基金設立について協議する、と事情に詳しい関係者が明らかにした。

  SMBCフレンド証券投資情報部の松野利彦チーフストラテジストは、「ドル安・新興国通貨高・原油高という世界的にリスクオフの巻き戻しの動きが出ている。年初から安かったイタリアが銀行株主導で上昇したのは象徴的な動き」と指摘。14、15日にワシントンで開かれるG20財務相・中央銀行総裁会議も悪材料にはなりそうもなく、「日本株もいったんショートポジションを閉じておくタイミング」と話す。

  このほか日本銀行は11日、当座預金のうちゼロ金利が適用されるマクロ加算残高に用いる基準比率の見直しについて発表。りそな銀行アセットマネジメント部の黒瀬浩一チーフ・マーケット・ストラテジストは、きょうの銀行株の上げについて「マイナス金利はどれだけの残高に掛かってくるか、見直しが入るだろうということ。今後もマイナス金利よりもゼロになる部分が多くなるのではないかという期待が入っている」との認識を示した。

  きょうの日本株は小安く始まった後、早々に上昇転換し、日経平均の上げ幅は一時200円を超えた。需給面での期待感も相場全体の下支え要因。日本アジア証券グローバル・マーケティング部の清水三津雄次長は、「日銀がきのうも含め連日のようにETFを買っていることから、下値は大きくないとの安心感が出ている」と言う。日銀は7日、TOPIXの午前終値が0.2%安の状況で従来型の上場投資信託(ETF)を333億円購入、11日も同額を買い入れた。

  もっとも、DIAMアセットの武内氏は「出来高を伴って方向が変わったというより、打診買い・買い戻しの域を出ない」とも話していた。東証1部の売買高は21億3832万株、売買代金は2兆848億円と前日からは増えたが、代金は過去半年の平均(2兆4465億円)より少ない。

  東証1部33業種は銀行、証券・商品先物取引、鉄鋼、海運、輸送用機器、非鉄金属、機械、電機、パルプ・紙、その他金融など27業種が上昇。鉄鋼は、中国で11日の市況が1カ月超ぶりの大幅高を記録する材料があった。水産・農林、食料品、陸運、情報・通信、小売、空運の6業種は下落。値上がり銘柄数は1331、値下がりは515。

  売買代金上位では、前日にがん免疫薬「オプジーボ」の2017年3月期売上高見通しを公表した小野薬品工業、モルガン・スタンレーMUFG証券が投資判断を「オーバーウエート」に上げた大塚ホールディングスが高い。三菱UFJフィナンシャル・グループなどメガバンク3行、トヨタ自動車やファナック、村田製作所、野村HD、新日鉄住金、川崎重工業も買われた。半面、みずほ証券が17年2月期以降の業績予想を減額し、目標株価を小幅に引き下げたセブン&アイ・ホールディングスは下落。業績悪化のJSRも安い。

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