ヘッジファンド不毛の地、日本に必要なのは変革-エド・ロジャーズ氏

  • 日本ベースのヘッジファンド数は過去4年ほとんど変わらず
  • マイナス金利政策でヘッジファンドに対する需要は増している

日本のヘッジファンドに対する需要はうなぎ上りになりつつあるが、ファンド業界が育つことは期待しない方がいいー。

  多くの運用会社が破綻した金融危機も切り抜けた、東京を本拠とする資産運用会社ロジャーズ・インベストメント・アドバイザーズを率いるエド・ロジャーズ代表取締役兼最高経営責任者(CEO)はこう言う。マイナス金利下で年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)や日本郵政のような巨大機関投資家も利回りの高い資産を求める中、すべての種類のオルタナティブ投資に対する需要は高まっている。問題は、今の日本でヘッジファンド業を始めるのは尋常ではないということだと、同氏は話す。

  ビジネスに不利な規制環境やリスクテークを避けたがる文化などが原因で、賢明な起業家ならば、香港やシンガポールでなく、東京を選ぶようなことはしないという。さらに日本の法人税は香港、シンガポールの倍近く高い。日本ベースのヘッジファンドの数は過去4年間、ほとんど変わっていないのに対し、香港やシンガポールでは約2倍に達している。

  ロジャーズCEOは、インタビューで「何も変わらなければ、その数字も変わらない」と話す。「税制を変え、労働基準を変え、採用や解雇が可能な経済特区を設定すべきだ。もし小規模事業主なら可能な限り効率的にならなければ生き残れない」と主張する。

税制、規制の壁

  代替投資のデータ会社プレキンによると、世界の15438に上るヘッジファンドのうち日本を本拠としているのは昨年末で94にすぎない。債券市場と株式市場がそれぞれ世界2位、3位の規模にもかかわらずだ。ヘッジファンドが世界で運用する資金は昨年11月時点で3.2兆ドル(約340兆円)に膨らんだ。

  同CEOは、日本のヘッジファンドについて「多くの人々が去った。生き残るにはビジネスのやり方を変える必要があったのだ」と話す。KPMGによると、法人税率は日本が33%なのに対し、香港とシンガポールが17%。所得税の最高税率は日本が51%、香港が15%、シンガポールは20%。

  ヘッジファンドを始めるためのライセンス取得費用の面でも香港やシンガポールと比べて約10倍かかるのに加えて、労働法制が厳しく、経営状態が厳しい時でも従業員を解雇したり、給与を引き下げたりするのは容易ではないという。さらに障害となっているのは、事務所を構えるのに約2カ月分の保証金で済む香港に比べて、東京では12カ月分の前払い金が必要なことを挙げた。

リスクへの抵抗

  「日本はリスクに対して非常に抵抗の強い社会であり、変えなければいけない」と話すロジャーズ氏はこうも言う。 「非常に懲罰的で社会主義的な税制の下で50%持っていかれたらお金を稼いでも意味が無い」
  
  日本銀行が1月、マイナス金利政策を導入した結果、年限12年以内の国債利回りはマイナス圏に陥った。年金基金はよりリスクのある資産などに代替投資しようとしている。ロジャーズCEOは、マイナス金利政策は代替投資にとって最大のチャンスだと指摘する。

原題:Survivor in Japan Hedge Fund Wasteland Says Tokyo Has to Change(抜粋)

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