日本株3日ぶり反落、107円台円高で業績懸念が再燃-輸出、金融安い

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11日の東京株式相場は3営業日ぶりに反落。為替市場で1ドル=107円台まで円高が進み、景気や企業業績の先行き不透明感が再燃した。自動車や精密機器など輸出株が下げ、銀行やその他金融、保険、証券など金融株もそろって安い。

  TOPIXの終値は前週末比7.90ポイント(0.6%)安の1279.79、日経平均株価は70円39銭(0.4%)安の1万5751円13銭。

  新光投信の宮部大介ストラテジストは、「日本銀行の短観で企業が実勢よりかなり円安を想定していることで、いずれ業績見通しの下方修正は必至との見方から業績を手掛かりに割安とは言えなくなっている」と話した。

  この日のドル・円相場は一時1ドル=107円63銭と、7日に付けた1年5カ月ぶりのドル安・円高水準である107円67銭を更新した。東京株式市場の8日終値時点108円71銭。岡三証券投資戦略部の小川佳紀シニアストラテジストは、「円高というより、利上げ観測の後退によるドル安の流れが止まらないと厳しい。投機筋の円買いポジションが積み上がっており、需給要因も強い」とみている。

  米国では、11日のアルコアを皮切りに第1四半期の決算発表シーズンが始まる。S&P500種採用企業では、金融危機以降で最悪の9.5%減益の予想。年初時点では横ばいの見込みで、米景気や企業業績への懸念が強い中でドル売り・円買いが先行しやすい状況にある。日本では、第4週から主要企業の決算発表が本格化する。

  立花証券の鎌田重俊企業調査部長は、「円高による企業業績懸念で買いが少ない中、海外投資家の売りが先行してしまうと、信託銀行や個人が押し目買いをしても株価は厳しい。海外投資家は日本株に対する見方を変えている可能性が高い」と言う。また、海外勢は消費税増税が既定路線と判断しているところが多く、「景気がさらにひどくなっても仕方がないとみている」との認識を示した。

  輸出セクターと並び、銀行など金融セクターも業種別の下落率上位に並んだ。「日銀がもう一度緩和に追い込まれるストーリーの中では、マイナス金利を広げるカードもある。利益の源泉が削がれるインパクトがさらに大きくなるという懸念がある」と、立花証の鎌田氏は指摘した。

  もっとも、日経平均は午前の取引で一時296円安まで売り込まれたが、その後大引けにかけては下げ渋り。前引け終値に対し大引けの水準が上回るのは3営業日連続となった。新光投信の宮部氏は、14、15日にワシントンで開かれる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議などで、円高に歯止めがかかるかどうかが当面の焦点と指摘。「日銀が一昨年に追加緩和する前の日経平均1万6000円水準はアベノミクスでは維持したいという意向が働きやすく、これを下回ると長期投資家も打診買いを行いやすい」と言う。

  東証1部33業種は輸送用機器、精密、銀行、その他金融、金属製品、証券・商品先物取引、保険、化学、ゴム製品、建設など26業種が下落。石油・石炭製品、海運、ガラス・土石製品、空運など7業種は上昇。石油は、米国での生産減少を材料に8日のニューヨーク原油先物が6.6%高の1バレル=39.72ドルと急反発したことが支援材料となった。東証1部の売買高は18億2657万株、売買代金は1兆8604億円で代金は3月29日以来、9営業日ぶりに2兆円の大台割れ。値上がり銘柄数は698、値下がりは1116。

  売買代金上位ではトヨタ自動車やマツダ、ホンダのほか、三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループのメガバンク3社がそろって安い。大和ハウス工業、シマノ、オリンパス、旭化成も売られた。半面、ソニーや小野薬品工業は高く、インドネシア石炭火力発電所向け蒸気タービンと発電機を受注した東芝も上昇。主力商品「ヤクルト400」の値上げを8日午後に発表したヤクルト本社は急伸した。

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