【今週の債券】長期金利低下か、フラット圧力-円高進行で緩和観測も

  • 長期金利の予想レンジはマイナス0.14%~マイナス0.03%
  • 30年債入札:プラス利回りの需要幅広く、崩れる感じない-岡三証

今週の債券市場では長期金利が低下すると予想されている。外国為替市場での円高基調に加えて、利回りがプラス圏にある超長期債に対する投資家需要が強く、利回り曲線にフラット(平たん)化圧力が掛かりやすいとの見方が背景にある。

  長期金利の指標となる新発10年物国債利回りについて、ブルームバーグが前週末に市場参加者3人から聞いた今週の予想レンジは、全体でマイナス0.14%~マイナス0.03%となった。前週はマイナス0.06%に上昇する場面があったが、8日にはマイナス0.085%まで下げた。新発30年債利回りは0.395%、新発40年債利回りは0.425%と、ともに過去最低を更新し、利回り曲線はフラット化した。

  マスミューチュアル生命保険運用戦略部の嶋村哲金利統括グループ長は、「今週の債券相場は堅調な推移を予想している。少なくとも21日の20年債入札までは緩やかなフラットニング圧力が加わることになりそうだ」と話した。

  前週の外国為替市場では円が対ドルで大幅に上昇し、一時1ドル=107円台と1年半ぶりの円高・ドル安水準に達した。円高を背景に企業業績への警戒感が強まり、前週末の国内株式市場では日経平均株価が2カ月ぶりに1万5500円を割り込む場面があった。

  みずほ証券の丹治倫敦シニア債券ストラテジストは、「円高・株安が進むと追加緩和の思惑につながりやすい。当社では追加緩和をメーンシナリオとはみていないが、量・質・金利の3次元でさまざまなオプションがあり得るため、思惑が交錯しやすく、各年限にサポート要因となっている」と話した。

  為替相場が大きく動いた背景として、SMBC日興証券の森田長太郎チーフ金利ストラテジストは14、15日にワシントンで開催されるG20財務相・中央銀行総裁会議に向けて、「市場が政府・日銀に対して圧力をかける動きが生じたということもある」と指摘。「G20の内容が市場に広く認識されてくるのは来週と考えられ、引き続き為替市場ではスペキュレーションの動きのみが続くことになる」とみている。

物価連動債入札と30年債入札

  財務省は12日午前、10年物価連動債入札を実施する。価格競争入札によるダッチ方式。償還日が2026年3月へ延びるため、回号が21回債となり、表面利率は年0.1%に据え置きとなる見込み。発行額は前回より1000億円少ない4000億円程度に減額される。

  ブルームバーグ・データによると、10年物固定利付国債と物価連動債との利回り差で、市場の予想インフレ率を示すBEI(ブレーク・イーブン・インフレ率)は水準を切り下げ、2月には0.1%台前半と、同省が物価連動債の発行を再開した2013年10月以降で最低を記録した。

  14日には30年利付国債の価格競争入札が予定されている。50回債のリオープン発行となり、表面利率は0.8%に据え置かれる見込み。発行額は前回債と同額の8000億円程度となる。8日の入札前取引で30年物は0.445%付近で推移した。

  岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、30年債入札について、「0.5%まで札が流れる可能性がある。ただ、プラス利回りの需要は幅広く崩れる感じない。日銀トレードの需要もある」との見方を示した。

予想レンジと相場見通し

  市場参加者の今週の先物中心限月、新発10年物国債利回りの予想レンジと債券相場見通しは以下の通り。

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◎マスミューチュアル生命保険運用戦略部の嶋村哲金利統括グループ長
先物6月物=151円15銭-152円25銭
10年物国債利回り=マイナス0.14~マイナス0.04%
  「先週は予想外に株安と円高が進んだこともあり、債券市場を取り巻く環境は悪くない。ドル・円相場が1ドル=105円を試すような展開になった場合には、債券買いが進むこともありそうだ。注目の30年債入札は無難にこなすと考えている。特に超長期債利回りが下がったことで、リアルマネー投資家の負債バリューが上がってしまっている可能性がある。その点からも30年債入札には相応の需要があるかと思っている」

◎岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジスト
先物6月物=151円20銭-152円10銭
新発10年物国債利回り=マイナス0.10~マイナス0.03%
  「引き続き円高圧力が強く、今の水準では為替介入もないとみており、基本的に債券にはフォローの環境だ。月末の日銀金融政策決定会合で追加緩和の有無を見極める必要はあるものの、超長期ゾーンが徐々に利回りの低下余地を探る方向は変わらないとみている。ただ、マイナス利回りの10年以下は相場の方向性が出にくい。10年債がマイナス0.10%を下回って極端に買われることもないだろう」

◎アムンディ・ジャパンの浜崎優投資情報部長
先物6月物=151円20銭-151円80銭
新発10年物国債利回り=マイナス0.10~マイナス0.04%
  「先週は円高に大きく動いたが、金利は年初からのレンジ内の推移となり、思ったほどには反応しなかった。日本株は為替が1ドル=100円トビ台で推移している間は円高懸念が根強く、戻りは鈍いだろう。110円台にしっかり乗せてこないと株価の上値は重いままで、結果的に金利の低下要因になる。景気の先行き懸念も強い状況だ。一方、政策期待は出ているものの、具体的な内容や規模が不透明なので、現段階では盛り込みようがない」
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