謎の円高進行、答えは債券市場に-モルガンSとソシエテが指摘

  • 14年以来の円高水準に多くのトレーダーやアナリストは当惑
  • 日本の期待インフレ低下で日米実質利回り格差が縮小、円の魅力増す

円が今週、2014年以来の高値を付けたことに多くの為替トレーダーやアナリストは当惑した。この円相場の動きについては、債券市場を通して見ることで最も良く理解できるようだ。

  日本経済の状況は厳しく、当局者が懸念を表明しているにもかかわらず、円は今週、対ドルで3%余り上昇した。これは週間ベースで2月以来の大幅な上げ。日本の国債利回りは多くの年限でマイナスとなっており、表向きには円の魅力が減退していることを考慮すれば、円高進行はあり得ないように見える。

  しかしモルガン・スタンレーとソシエテ・ジェネラルによると、インフレ調整後の日米の利回りを見ると、日本の10年国債は米10年債と比べ、魅力が増している。今月に入り主要通貨の中で円が対ドルで最も上昇している理由について説明するため、両行は実質利回りから見た米国の優位性の後退を示す指標を挙げた。

  モルガン・スタンレーの米通貨戦略共同責任者、カルビン・ツェ氏(ニューヨーク在勤)は「実質利回りが高水準にとどまれば、資本輸出の意欲をそぎ、他の要因が全て同じと仮定すれば、対円でドルに売り圧力がかかる」と指摘した。モルガン・スタンレーはドルが9月末までに1ドル=105円に下げると予想する。

  円相場は1ドル=108円07銭で今週を終えた。7日には一時107円67銭と、14年10月下旬以来の水準まで円高が進んだ。

  ソシエテ・ジェネラルのストラテジスト、アルビン・タン氏(ロンドン在勤)は4月7日付のリポートで、「最近の円高は日本のインフレ期待の低下が招いたものだ。日本の名目利回りはマイナスとなっているものの、実質利回りは米欧との比較で高くなってきている。従って、少なくとも短期的にはファンダメンタル面から円高に向けた勢いがある」と指摘した。

  長期的なインフレ期待の低下に伴い、日本の実質利回りは上昇。ブルームバーグ集計のデータによると、実質10年債利回りは米国の方が日本よりも依然として高いが、その差は約0.6ポイントと、年初時点の約1.1ポイントから縮小している。

原題:The Yen’s Puzzling Surge, Explained in One Morgan Stanley Theory(抜粋)

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